プロフィール ホンダが本格的な実用ハイブリッドカーを送り込んできた。シビック・ハイブリッドの燃費は29.5km/リッター(10・15モード)。5人乗りの量産ガソリン車として世界最高の燃費性能を謳っている。とはいえ、実は1999年に先発したハイブリッドカー、インサイト(5速MT)の燃費は35.0km/リッターとシビック・ハイブリッドを上回る。ただし、こちらは軽量アルミボディを奢ったクーペスタイル。しかも完全な2人乗り。それよりも、はるかに間口が広いシビック・フェリオをベースにした実用セダンで、リッターあたり30km近い数値を達成したことに大きな意義があるといえるだろう。実際、シビック・フェリオの1.5リッターエンジン搭載車(FF/CVT)は20.0km/リッターの低燃費を実現しているが、それを10kmも上回ったことによる経済的メリットの大きさは、所有すればきっと実感できるはずだ。
実用的なハイブリッドカーで、どのモデルを選択するか。現在、トヨタ プリウス/エスティマ・ハイブリッド/クラウン・マイルドハイブリッド、そして、今回登場したシビック・ハイブリッドのいずれかといった限られた選択肢しか挙がらない
。そこでまず注目すべきはプリウス。車格的にシビック・ハイブリッドに近いこともあるが、1997年、世界に先駆けて実用化されたにもかかわらず、その時点で28.0km/リッターの超低燃費が達成されていたからだ(2000年5月のマイナーチェンジで29.0km/リッターに向上)。それも200万円を少々上回る程度の価格で提供されているだけに、最新のシビック・ハイブリッドと比較しても俄然、侮りがたい強力なライバルといえる。
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パワートレイン シビック・ハイブリッドが採用しているのは、インサイトが搭載するHonda
IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)システムの発展形。エンジンを主動力とし、必要に応じてモーターが駆動力をアシストする機構の高効率化を図っている。ちなみに駆動方式はFF、トランスミッションはホンダ・マルチマチックSと呼ばれるCVTだ。
エンジンには新開発の1.3リッター 直列4気筒 i-DSI気筒休止VTECユニットを採用。1気筒に2本のスパークプラグを設置し、2点位相差点火制御システム(Dual
& Sequental Ignition)による急速燃焼とリーンバーン化(希薄燃焼)を組み合わせることで燃費の向上を追求している。また、減速時に電気エネルギーを回生(充電)する機能に対しても凝った手法を用いている。一般的なレシプロ・エンジンを採用していては、走行が減速状態に入った際、エンジンの抵抗によってタイヤからの回転エネルギーがエンジンブレーキとして失われるため、モーターで回生できるエネルギーが減少してしまう。そこで、減速時には4気筒のうち3気筒のバルブ作動を休止させ、ポンピングロス(吸排気に伴う抵抗)を大幅に低減。1000回転という低回転域まで3/4気筒の休止状態を維持し、以上に効率的な回生を可能にしたという。なお、エンジン単体では最高出力86ps/5700rpm、最大トルク12.1kg-m/3300rpmを発生する。
一方、“新Honda IMAシステム”の核となるモーターアシスト機構は薄型DCブラシレスモーター、ニッケル水素バッテリー、パワー・コントロール・ユニット(PCU)によって構成される。高水準の薄型DCブラシレスモーターは従来型に対してアシストトルク、回生トルクともに約30%の向上を実現。加えて、重量で約30%、容量で約40%削減し、コンパクト化も追求したそうだ。
さらに、バッテリーは容積を約30%削減。モジュールの効率アップによってエネルギー損失の低減も図られている。
PCUはモーターの動きを実際にマネージメントする、いわば頭脳的役割を担う。おおまかに分類すると4つの走行モードに応じてモーターのアシスト/休止/回生をコントロールするわけだが、具体的にいうと加速時はエンジンをモーターがアシスト。クルーズ時はモーターが休止し、エンジンのみを作動する。減速時はエンジンの3気筒を休止し、エネルギーをモーターが回生してバッテリーを充電。そして、停車時にはアイドリングをストップし、燃料消費と排出ガスを抑制するというシステムだ。
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パッケージング ベースとなったシビック・フェリオは全長4435mm、全幅1695mm、全高1440mmのボディに2620mmのロングホイールベースを確保。メカニズムのスペースを極力抑え、床下シャシー部品のレイアウト整理により、ウォークスルーも可能なフラットフロアを獲得している。
シビック・ハイブリッドでもそうした美点は損なわれていない。重要なのはフロント、ボンネット下に収まらないパワー・コントロール・ユニット(PCU)とバッテリーをどこにレイアウトするかということだが、当然、それを視野に入れ、それぞれが大幅にコンパクト化されている。しかも、そのふたつをインテリジェント・パワー・ユニット(IPU)として統合。スペース効率を最大限に高めたうえで、リアシート背面へ収納している。その結果、ボディサイズは全長が4455mmとベース車に対して20mm延長されたものの、優れたパッケージングは維持されているのだ。
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ハイブリッド化に際しては、エクステリア/インテリアについても手が加えられている。“スマート・エアロダイナミック”をテーマにしたというボディは、専用のエアロパーツを装着。ベース車に対して車高が10mm低められたほか、アンダーフロアのフラット化も実施され、空力性能が高められている。
インテリアにおいては、本革巻きステアリングホイールや黒木目調センターパネル、それに専用素材のシートが採用され、より洗練されたカタチに。また、最も特徴的なのはクロームメッキパーツやデジタル/アナログ表示を融合させた自発光式3眼メーターで、クルマ自体の先進性をアピールするアイテムになっている。
果たしてシビック・ハイブリッドは買いか? 実用性の高さが評判のシビック・フェリオが持つ機能はそのままに、これだけの先進技術が盛り込まれているのだから、2,090,000円の車両価格が高いとは思えない。それに、グリーン税制による減税措置、超低燃費がもたらすランニング・コストの低減など、ハイブリッドカーならではの経済的恩恵も魅力だ。ただし、もちろんそういったコストパーフォーマンスも重要だが、大切なのは環境にやさしいクルマに乗るという選択基準を消費者が持つことだろう。
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