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クライスラー クロスファイア
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取材協力:ダイムラー・クライスラー日本株式会社
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世界最大規模の合併から5年でようやく実現した部品共用化
クライスラー クロスファイア
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 90年代後半から、世界中の自動車メーカーを巻き込んで繰り広げられてきたサバイバル・ゲーム。日本でも日産がルノーと合併したり、マツダがフォードグループに加わったりと、この時代から自動車業界は大きな変貌を遂げることになったが、なかでも最も衝撃的だったのが、1998年のダイムラー・ベンツ社とクライスラー社の「対等合併」だ。

 株式時価総額の合計で約920億円とも言われる世界最大規模の合併により、新生ダイムラークライスラーはその時、売上高で世界第3位だったトヨタを抜いた(その後トヨタは再び巻き返したが)。そしてベンツ車は、そしてクライスラー車はどう変わるのか、誰もが期待や様々な思いを込めたと思う。

 この大合併の大きな目的のひとつは生産&開発効率を高めるため、などと言われていたが、真相はもっと深いところにあるようだ。現に日産とルノー、フォードとマツダはその頃からエンジンやプラットフォームの共用化を進め、グローバル化による「合理化」が商品レベルでも見られるようになったが、大衆車市場への進出を画策していたはずのメルセデスは、クライスラーの力を借りず、その後登場した数多くのニューモデルもエンジンからプラットフォームまですべてを自社開発しているし、今でもそのスタンスは変えていない。

 また、これまでクライスラー車にメルセデスの部品が使われることも無かった。が、ここにきてようやく沈黙が破られた。メルセデス・ベンツSLKのプラットフォームがクライスラー側に手渡されたのである。それをベースに誕生したのが、このクライスラー・クロスファイアだ。



アメリカンを感じさせるクラシカル&モダンデザイン
 ダイムラーの真の思惑がどうであるかはさておき、できあがったクルマがどうなのか、という点が我々ユーザーにとって一番の関心事だろう。クルマ好きなら、例えばデザインはイタリア車が好きでエンジンの信頼性は日本製がイイとか、ひとぞれぞれの感性や経験によって様々な理想の姿というのがあると思うが、そういう意味ではクロスファイアは、ドイツのエンジニアリングとアメリカン・デザインを結合して生まれたクルマとして注目される。
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 デザインは言うに及ばず、アメリカンな雰囲気が濃厚。クライスラーが最初にクロスファイアをお披露目したのは2001年のデトロイトショーだが、ヘッドライトがその時の縦目から横目に変更されたことを除けば、コンセプトカーのデザインが忠実にプロダクションモデルに再現されている。つまりベース車の存在がどうであれ、デザイナーがやりたかった仕事は実現したわけだ。そのボディは、典型的なロングノーズ&ショートデッキのスタイル。にもかかわらず、他のどのクルマにも似ていないところが最大の特徴だ。

 そうしたクライスラーのデザインに対するこだわりは、ディテールにも見て取れる。ボディパネルは平べったい所が一切なく、どの角度から見ても複雑な曲面が絶妙に組み合わされており、さらにプレスラインによって光と陰が強調されている。ボンネットには7本のリブが走っており、中心のそれはルーフからリアバンパーまで繋がっている。これもコンセプトカーから受け継がれたデザイン上のハイライト。
クライスラー クロスファイア
しかもそのボディ中央を通るリブはインテリアにも採用されており、ダッシュボードやセンターパネルの細かな所まで中央部分が若干膨らんだ形状になっているのだ。こういう小さなこだわりはオーナー心をくすぐるポイントになりえるだろう。

 ちなみにスイッチ類などの配置はメルセデスSLKに準じており、エアコンの操作パネルの形状やハザードの位置までそれと共通。ただ、ダッシュボードや内張の素材や色はクロスファイアの専用品だ。聞けば、メルセデスSLKとの共用パーツの割合は全体の39%で、そのなかには218psを発生する3.2リッターV6エンジンや5速AT、フロント・ダブルウイッシュボーン&リア・マルチリンク式のサスペンションなど、メカニカルパーツのほとんどが含まれている。では実際に乗ってみるのどうなのか。



安定感のあるメルセデス流シャシーにスポーティ感をちょっぴりプラス
クライスラー クロスファイア
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 走り始めてすぐに感じたのは、クロスファイアの乗り味がメルセデスのそれに限りなく似ている、ということだった。パワステも同じだからパーキングスピードでステアリングを切ると独特のシットリした手応えが伝わってくるし、タイヤが駐車場の段差から落ちた時に伝わってくる「タンッ」という軽い衝撃も、ボディを揺することなくあくまでも頑丈なサスペンションとタイヤだけで衝撃を吸収してしまうメルセデス流の乗り味だった。このあたりは上質感に直結する部分なので、誰もがポジティブに感じると思う。

 ではクライスラーらしさがどこに感じられるかといえば、すぐにわかるのがアクセルを強く踏み込んだ時のエキゾーストノート。ゆっくり加速している時のトルクフルなエンジンを5速ATが小刻みにシフトチェンジしていく様子はメルセデスと同じだが、ひと度右足に力を込めると「コォーン」という甲高い音色に変わる。端的にいえば、クロスファイアの方がマフラーの音がスポーティなのである。

 でもって、その勢いで加速を続けていくと、時速90キロを越えたところで電動式のリアスポイラーがスッと立ち上がる。これはクロスファイアだけの特徴で、ボディ後部が空気抵抗の少ない滑らかなデザインゆえに、そこへ強制的にダウンフォースを生み出すことで高速走行での安定性を高めるのが目的。たんなるギミックではない。

 タイヤサイズは、フロントが225/40R18、リアが255/35R19という
クライスラー クロスファイア
前後異径サイズのワイドタイヤが組み合わされている。タイヤサイズの拡大でホイールが重くなったぶん、サスペンションのセッティングを若干引き締めて対応しているようだが、それも乗り心地の悪化をまねくほどの大きな違いではない。また、コーナーに勢いよく飛び込んでもシャシーは安定しているし、そこからブレーキを踏んでも何事も起こらず安心して減速することができた。結局のところクロスファイアは、メルセデスのいい部分をもれなく受け継いでいたのだ。(曽宮岳大)




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