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マツダ アテンザ スポーツワゴン
取材協力 :マツダ株式会社 (2002年7月5日取材)
※それぞれの写真をクリックすると拡大表示します

マツダ アテンザ スポーツワゴン
ニューモデル
(2002年5月20日発表)
 
レポート 佐野 弘宗
写真 中野 英幸
マツダ アテンザ スポーツワゴン クルマ総合カタログ
マツダ アテンザ スポーツワゴン 新車 見積もり

マツダ アテンザ スポーツワゴン プロフィール
 まさに、マツダが社運を賭けた1台、といえるアテンザは、ご承知のとおり、まずはイメージリーダーとなる5ドアハッチバックの“スポーツ”と4ドアセダンが先行して発売された。気になるのは市場の反応だが、発売から約1ヵ月が経過した7月初頭の時点で、すでに5ドアと4ドアで合計6000台を受注(月販目標は2ボディで1000台)。ほぼ1ヵ月遅れの6月下旬に投入された“スポーツワゴン”も発売1週間で月販目標の1500台受注を達成するなど、日本市場での立ち上がりはまずまず好調のようだ。さらに、このクルマの重要なマーケット(日本以上に)となるヨーロッパではさらに反響が大きく、現時点での受注は、すでに年間販売予定台数をオーバーする合計3万台に達しているという。

 さて、スポーツワゴンの正式発売によって、予定されていた3タイプのボディが出揃ったアテンザ。日本市場での昨今のトレンドから見て、台数的にもっとも期待されるのは、やはり最後発のスポーツワゴンだろう。発売こそ少し遅れたが、アテンザが開発当初から5ドア、4ドア、ワゴンの3ボディによる構成だったことは明らかで、開発作業はまったく同時に進められたと考えていい。4690mmというスポーツワゴンの全長は5ドアや4ドアよりも20mmほど長いが、これはリアバンパー部分のデザイン違いによるものと考えてよく、ホイールベースはもちろんのこと、室内高などのパッケージングにも差はない。2.3リッターと2.0リッターという2種類のエンジンもシリーズ共通のものだが、現時点でスポーツワゴンにのみ4WD(発売は8月)が用意されていたり、2.3リッターに17インチホイールでスポーティな“23S”とラグジャリーな“23C”の2グレードが揃うなど、マツダ自身も“ワゴンが最も売れ筋のモデル”と判断しているらしく、グレード構成もこのスポーツワゴンが最も充実している。


高次元の走りを予感させるエクステリア・デザイン
 というわけで、今回、やっと一般路に連れ出すことができたアテンザ・スポーツワゴン。注目の4WDはいまだ発売前ということで、現状でメインとなりそうな2.3リッターを積むFFモデルを中心に試乗することにした。さて、こうして太陽の下で眺めるアテンザのワゴンは非常にコンパクトに見える。先代にあたるカペラワゴンは、セダンよりもホイールベースを伸ばしてなおかつ全高も引き上げ、乗員のヒップポイントまで見直し、さらにリアのオーバーハングも長めに取るという、実に凝った設計となっていたが、それに比べてアテンザ・スポーツワゴンは、誤解を恐れずにいうとごくごく普通の仕立て。とくに今時のワゴンとしては低めの全高(1440mm〜1450mmでルーフレールも省かれている)もあって、視覚的には“荷物がたくさん積めそう”というより“走りがよさそう”といったイメージの方が強い。まあ、これはマツダが意図的に演出したものだろうが・・・・・・。

 シートバックもしくはトランク側面にあるレバーを引くと、ワンタッチでフラットなラゲッジスペースが出現する、自慢のKARAKURIシート、そして、三角表示板などの小物を収納できる床下スペースも基本的に5ドアと共通である。トランク容量は5ドアの492リッターに対してスポーツワゴンは505リッター。確かに、ワゴンの方が少し大きいが、これはゲート部分の造形の違いと考えてよく、視覚的には、トノカバー装着時ならば5ドアのスペースとほぼ同等と考えていい。つまり、たとえばフランス製ワゴンのような巨大さはなのものの、欧州ワゴンも含めた最新レベルの容量は確保されているということだ。
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しなやかな走りはまさに欧州車的味わい
マツダ アテンザ スポーツワゴン セダンをベースにワゴンボディを生み出そうとすると、とかく走りにネガティブな要素を抱えることになる。ひとつはシート背後の隔壁がなくなり、リアに大きな開口部を持っているため、リア周りを中心にしてボディ剛性がどうしてもダウンしてしまう。そして、もうひとつの弊害は重量配分がリア寄りに、かつ高くなってしまうことだ。つまり、こと走りの資質においては、セダンよりも優れたワゴンボディはこの世に存在しないと考えていい。
 そういう目でアテンザ・スポーツワゴンを見ると、セダンはもちろんのこと、5ドアスポーツよりもブルブルという振動が多く、タイトな下りコーナーなどでリアが不安定な挙動を示すのは確かだ。しかし、それらは直接乗り比べてみなければ判らないほどのレベル。逆にいうと、ワゴンとしてはかなりレベルの高い仕上がりということでもある。開発者によると、5ドアとワゴンのリアサス周辺にはセダンにはない補強設計が施されており、マツダ社内のボディ剛性の実測値は、ネジリ・曲げともに3つのボディともほぼ同等だという。少なくともスポーツワゴン単独で評価すれば、ステアリング・インフォメーション、適度にクイックなハンドリング、それでいて良好な乗り心地、そして、限界付近の味付けと、アテンザはミドル級FFワゴンのなかでトップ級の出来といっていい。

 今回は215/45R17タイヤを履く“23S”とオプションサイズのマツダ アテンザ スポーツワゴン205/55R16を履く“23C”の2台を乗り比べてみたが、17インチ仕様はもちろんのこと、16インチでも負けないくらいのリニアなステアリングフィールを備えていた。これはつまり、タイヤの性能に頼らずサスペンションが与えられた仕事をきちんとこなしている証拠である。スバル・レガシィ、ニッサン・プリメーラ、そして、このアテンザが、現時点では2.0〜2.5リッター級の国産スポーツワゴンで“3トップ”といえる存在だろう。そのなかにあって、“しなやかさやフトコロの深さで路面と対話しながら走る”といった欧州車的味わいが最も濃いのは、間違いなくアテンザ・スポーツワゴンだ。