一見すると「どこが変わったの?」と思うかもしれないが、実際に新旧の2台を並べてみると明らかに違うクルマであることがわかる。特徴的な丸目4灯ヘッドランプはより精悍な表情を身につけ、ルーフラインもダイナミックになった。近づいて眺めれば、塗装品質やプレスの精度が大幅に引き上げられていることにも気づくだろう。インテリアに関しても、随所にコストダウンの跡が見えた旧型とは違い、かなり上質な仕上がりを見せる。ナビゲーションシステムを核としたマルチメディア機能を含め、質感と装備のレベルはSクラスに限りなく近づいた。ドアの開閉音にメルセデスらしいガッチリ勘が戻ってきたのも歓迎したい部分である。 ボディサイズは全幅と全高とホイールベースを2cmずつ拡大したが全長は4820mmのまま。5.3mという小さい最少回転半径と相まって、このクラスとしては異例に優れた取り回し性を提供してくれる。室内スペースに大きな変化はない(180cm×4人乗車が可能)が、ラゲッジスペースはとくに奥行きが大幅に拡大された。ステーションワゴンは来年の登場予定だが、常識的に考えてセダンでも収納力で困ることはないはずだ。
日本仕様のラインナップは2.6リッターV6を積むE240、3.2リッターV6のE320、5リッターV8のE500の3種類。E500には標準で、E320にはオプションでAIRマティックDCと呼ばれる電子制御式エアサスペンションが装備される。また、SLで注目を浴びたセンソトロニック・ブレーキ・コントロール(SBC)が全車に標準装備されているのも注目点だ。 動力性能は当然ながらE500>E320>E240の順になるわけだが、E240でも十分というのが個人的な印象。高速道路でも上り勾配のワインディングロードでもパワー不足を露呈することはない。高級セダンとして十分な動力性能と静粛性を確保している。もちろん、モアパワーが欲しければ105万円上乗せしてE320を選ぶのも、265万円上乗せしてE500を選ぶのも悪くはないが、よほどのスピード狂でもなければE240で十分だ。なお、とにかく速いクルマに乗りたいという希望をお持ちならE500をおすすめしたい。 走りでもっとも大きく進化したのがフットワークだ。僕は旧型の足回りをあまり高く評価していなかったが、新型には文句なしに太鼓判を押す。なかでも鳥肌が立つぐらいすごいと思ったのが旋回中に制動をかけたときの振る舞いだ。4本のタイヤがガッチリと路面を掴みながら、もともと走っていたラインをまったく崩さずないまま強力に減速する。カーブでこれほど安心してブレーキを踏めるクルマはちょっと他には見当たらない。現状考え得るもっとも進んだブレーキスステムであるSBCの威力を感じる瞬間だ。 ハンドリングはとくに軽快とかスポーティーというわけではないが、狙ったラインを正確にトレースする能力は非常に高い。高速直進性も最高だ。そして、Eクラスには似合わないアグレッシブな走りをしても音を上げることなくしっかり付いてくる。このあたりの奥行きの深さは本当に素晴らしい。 エアサスも通常のサスペンションも基本的には同じ特性だが、エアサスは路面によって乗り心地の急変が起こるケースがあった。