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BMW 7シリーズ
取材協力 :ビー・エム・ダブリュー株式会社(2002年4月18日取材)
※それぞれの写真をクリックすると拡大表示します

緊急試乗レポート BMW 7シリーズ
BMW 7シリーズ
ニューモデル
(2001年10月18日発表)
 
レポート 岡崎 五朗
写真 中野 英幸

BMW 7シリーズ プロフィール
BMW 7シリーズ BMW 7シリーズ
 アバンギャルド・・・・・・。新型7シリーズの特徴をひと言で表現するなら、そうなるだろう。スロットルバルブを追放した画期的なV8エンジン(バルブトロニック)、電子制御システムをテンコ盛りしたシャシー、戸惑いを感じるほど新鮮なスタイリング、そして、クルマの操作系を一から見直した結果生まれた“iドライブ”など、新型7シリーズには従来の常識を打ち破ろうというBMWの熱い想いが強く表れている。
 しかし、7シリーズが属する高級車マーケットのユーザーには、保守的な価値観の持ち主が多いのも確か。エンジンやシャシーの革新はともかくとして、ルックスや操作系の大胆な革新がユーザーから反発を買う可能性は大いにあるのだ。そんな危険な賭けをしてまで、アバンギャルドを徹底的に追及した新型7シリーズは、高級車市場においてどんなポジショニングを獲得していくのだろうか。さっそく、その実力をチェックしていこう。



保守的なフォルムと決別した新型は中身も革新的
BMW 7シリーズ BMW 7シリーズ
 短いフロント・オーバーハングやキドニーグリルなど、新型7シリーズはひと目でBMWであることが判る。しかし、その一方で、ヘッドライト周りやリアエンド周辺の造形には“BMWの殻”を破ることを強く意識した特徴的な造形が与えられている。担当デザイナーは、「何度か見ていくうちに慣れるはず」と自信たっぷりのコメントを発しているが、その点、太陽の下で新型7シリーズを眺めるのは今回が初めてとなる僕は、まだまだ経験不足なのだろう。2時間弱の試乗では、最後の最後まで素直に、「カッコいい」と思うことはなかった。今後、その印象がどう変わっていくかが楽しみである。いずれにしても、新型7シリーズが大いに目立つことだけは間違いない。小ぎれいにまとまり、フラッグシップモデルらしい存在感に欠けていた旧型7シリーズとは正反対である。

BMW 7シリーズ BMW 7シリーズ BMW 7シリーズ

 インテリアの質感は、さすがに1000万円級のモデルらしく徹底的に豪華で、質感が高く、BMWらしい快適なセンスにあふれている。加えて、大いに話題を呼んでいるのが、センターコンソールにあるダイヤル式の大型スイッチだ。オーディオ、ナビゲーション・システム、ハンズフリー電話、可変サスペンションなどなど、新型7シリーズには数え切れないほどの機能が備わっているが、そのほとんどがこのスイッチで操作可能になっている。
 まずは、ダイヤルを前後左右など8方向にスライドさせることで、8つのメインメニューのなかから希望を選択。メニューを選んだら、今度はそのダイヤルを回してサブメニューを選択。そして、最後はダイヤルを押して決定という操作により、最大270種類の操作が可能だ。もしこのアイディアがなかったら、新型7シリーズのダッシュボードはスイッチだらけになってしまっていただろう。また、ATセレクターがコラム部にあること、パーキングブレーキやエンジンの始動/停止がボタン操作化されていることも大きな特徴だ。最初のうちは、パソコンのOSを別のものに変えた直後のような戸惑いを感じたものの、1時間ほどでほとんどの機能を直感的に操作できるようになった。少なくとも、パソコンを自由に操れる人ならすぐに慣れてしまうと思う。
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足の味付けと完成度は競合車のそれを遥かに凌ぐ
BMW 7シリーズ
 
 現在、 新型7シリーズにラインナップされているのは、3.6リッターのV型8気筒エンジンを積む735iと4.4リッターのV型8気筒エンジンを積む745iの2モデル。まず、735iから乗ってみたが、ハードウェア、特にフットワークの仕上がりは完璧だった。標準装備の可変ダンパー(EDC-C)に加え、試乗車には可変式スタビライザーによってロールを抑え込む“アクティブ・ダイナミックドライブ・サスペンション”(オプション)が組み込まれていた。このふたつのハイテク・システムによって、新型7シリーズはほとんどのケースでフラットな姿勢を保ってみせる。

BMW 7シリーズ ちょっと速めのペースでコーナーを駆け抜ける程度なら、ほとんどロールを伴わないのだ。しかも、無理にロールを抑え込むと、普通は突っ張った感じになってかえって扱いにくくなるものだが、新型735iは、しなやかな乗り心地と正確で扱いやすいステア特性を保ちながら、ロールをほぼ完璧に押さえ込んでいるあたりは素晴らしいチューニングといえる。もちろん、さらにペースを上げていけばノー・ロールとはいかなくなるものの、最後の最後まで路面との濃密なコンタクト感を保ちつつ、ほぼニュートラル・ステアで旋回するあたりは見事というしかない。セルシオに対してなら2レベル、Sクラスと比較しても完全に1レベル上のハンドリング性能を持っていると断言できる。ちなみに、EDE-Cにはスポーツモードも用意されている(例のダイヤルで選択する)が、これは路面のジョイント部などでかなり尖った突き上げを伝えてくる。デフォルトで選択されるコンフォートモードでもワインディングロードでの特性に問題はないから、スポーツモードを積極的にチョイスする必要性はとくにないと感じた。

BMW 7シリーズ 745iも基本的には同様の特性だが、履いていたタイヤの銘柄が違うためか、限界領域での素直さは735iの方が上に感じた。ロールを抑え込んでいる分、車両の挙動がタイヤによって大きめに変わることは十分に考えられる。走行を重ねてタイヤの摩耗が進んだ時に、いったいどんな特性変化が表れるのか・・・・・・、現段階ではちょっと想像もつかないが、いずれ確認してみたい部分だ。V8ユニットはトップエンドまでスムーズに回る。BMW製エンジンなのだから、トップエンドでのサウンドにもう少し刺激性が欲しいところだが、その分、静粛性は文句なし。ただし、735iについては、時としてモアパワーの要求を感じたことも告白しておこう。パワースペックは272psと申し分ないレベルにある。にも関わらずそんな印象を抱いたのは、2トン近いウェイトもさることながら、足の実力自体、非常に高いレベルにあるからだ。735iでも十分に速いが、より高度なドライビング・プレジャーを享受したいのであれば745iのチョイスをお薦めしたい。もっとも735iと745iの価格差は160万円もあるが。

 70年代の半ば以降、クルマはエレクトロニクスの力を借りることによって大きく進化してきた。21世紀に入ってもこの流れは止まることはない。それどころか、さらに加速していくに違いないことを新型7シリーズは雄弁に物語っている。BMWならではの、洗練された機械と高度なエレクトロニクスを高い次元で融合した新型7シリーズは、間違いなく最先端の高級車なのである。



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