
取材協力 :フォード・ジャパン・リミテッド(2000年12月15日取材) ※それぞれの写真をクリックすると拡大表示します
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ニューモデル (2000年12月6日発表) |
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| すでにご承知の方も多いと思うが、今回発売されたフォード・エスケープは、ひと足先にデビューしたマツダ・トリビュートと双子の関係にあるモデルだ。つまり、2台は基本シャシーを共有するフォードとマツダの共同開発車であるわけだが、だからといって完璧な一卵性双生児というわけではない。同じ骨格を持ちながらも、スタイルやインテリアデザイン、乗り心地、走りなどに互いのメーカーの"味"が表現され、全く別のクルマに仕立てられている。たとえば、エスケープのフロントノーズに収まるパワーユニットは、2リッターの直列4気筒と3リッターのV型6気筒で、このフォード製エンジンはトリビュートにも搭載されているが、足回りの設定の違いなどにより、それぞれが独自の走りを示すという。はたして、両車の走りには体感できるほどの違いがあるのか? 後発車エスケープの3リッターV6モデルで、さっそくそれを確認してみることにした。
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そもそも、SUVと呼ばれるクルマのなかには"しなやかな足"と"柔らかな足"を取り違えた感のあるものが多い。たとえ、実際の使用の大半が街乗りだったとしても、SUVである以上、基本性能の一部にオフロードでの高い走破性を盛り込まなくてはならない、というある種の強迫観念が開発陣にあるからか、結果としてオン・オフ性能の折り合いが中途半端になっているモデルを多く見かける。
そんなSUVのなかにあって、エスケープの走りはとにかく新鮮。いったん走り出してしまえば、すべてが乗用車感覚なのである。ドライバーズシートの着座位置に、唯一、SUVであることを意識させられるが、アクセルのON/OFFに対する挙動は何とも乗用車的。加速時のリアの沈み込みや減速時のノーズの沈み込みの度合いは、従来のSUVのそれとは明らかに一線を画する。窓越しに見える景色は乗用車に比べて高いものの、加減速時やコーナリングの際の姿勢は、それこそフォーカス・ワゴンあたりに匹敵するほどの落ち着きを示してくれる。
このエスケープが持つSUVらしからぬ走りの上質感は、ハンドリングの味付けにも起因する。"クイック"な味付けのトリビュートに対して、エスケープは"ゆったり"を目指したと開発者は語るが、ダルな印象は全くない。ほどよく締め上げられた足とあいまって、コーナリングが実に心地よい。しかも、5cm〜10cm大の小石が敷き詰められた悪路を走ってみても、足の硬さを意識することなく、タイヤで受けた直接的な入力をしなやかな足がこともなげにいなしてくれるのである。
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この手のSUVには、アクセルペダルをガバッと踏み込むと、一瞬遅れてリアが沈み込み、それからやにわに加速態勢へ移るものも多いが、フォード自慢の3リッター・デュラテックV6エンジンを搭載したエスケープは、ただでさえパワフルなところへもってきて無用なリアの沈み込みがないから、発進時のストレスは皆無に近い。加速においてもこれまた乗用車的な感覚を味わうことができるのだ。そして、「ドライバーだけでなく、ほかの乗員にとっても快適な乗り味であることを念頭に置きました」という開発担当者の気配りが、加速時だけではなく、ブレーキングの際にも実現されていることに気付く。
ちなみに、ブレーキシステムについてはトリビュートのそれと全く同じ。クルマを走らせる上で重要なパートとなるだけに、ここはそれぞれの"味"を追求することなく、共同作業で高性能に仕上げたというわけだ。とはいえ、システムそのものに違いがなくとも、足周りとの兼ね合いで制動時の姿勢には差異が生じているのは確か。サスペンションの設定からいくと、エスケープの姿勢の乱れの方が多いように感じるが、実際のところ、急制動を試みても4輪が見事なまでに均等に沈み込み、頼もしいほどの安定感を見せてくれた。まさに、この足、このブレーキあっての3リッターV6といったところか。
ただ、エスケープとトリビュートの走りの違いを厳密に探ろうとするならば、それこそ2台を同じ場所に用意し、交互に乗り比べてみる必要がある。両車に"味"の違いが存在するのは確かだが、だからといってそれが性能の優劣で簡単に片付けられないのも事実。はたしてエスケープとトリビュート、結論的はどちらがいいクルマなのか? 無責任なようだが、その質問については乗り手のお好み次第、と答えるしかない。この2台については、とどのつまり「どちらがいいクルマか?」ではなく、「どちらの"味"が好きか?」となってしまうからだ。
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