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トヨタ MR-S
取材協力 :トヨタ自動車株式会社
※それぞれの写真をクリックすると拡大表示します

緊急試乗レポート トヨタ MR-S
トヨタ MR-S
マイナーチェンジ
(2002年8月2日発表)
 
レポート 佐野 弘宗
写真 中野 英幸
トヨタ MR-S クルマ総合カタログ
トヨタ MR-S 新車 見積もり

トヨタ MR-S プロフィール
 トヨタMR-Sが1999年11月の発売以来、初のマイナーチェンジを受けた。 ホンダNSXやポルシェ、フェラーリなどの高価格なスーパースポーツを例外とすれば、MR-Sはご存知のように、現在新車で入手できる唯一の“手ごろで現実的なミッドシップ・スポーツカー”だ。
トヨタ MR-S
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ミッ ドシップという条件を抜きにして“純粋に走りを楽しめる軽量スポーツカー”ということでも、ほかにはマツダ・ロードスターとダイハツ・コペンくらいしか思い当たらず、その意味でもトヨタMR-Sはミニバン全盛の現在にあって、われわれクルマ好きにとって非常に大切な存在でもある。

 今回のマイナーチェンジでは、内外装の細かいデザイン変更や仕様の見直しといったルーティンワークのほか、MT、シーケンシャルともに共通するトランスミッションの6速化、そしてリアを215/45R16にインチアップしてタイヤを前後異径サイズとするとともにフットワークを熟成したことが主な内容だ。ちなみにタイヤサイズの変更に合わせて、従来はスチールホイールだった最廉価版のBエディションも上級と同デザインのアルミホイールが標準装備となった。 2シータースポーツという性格上、もともと大量販売は期待できないMR-Sだが、もともと非常に完成度の高いクルマだっただけに、余計な手を入れなかったことは個人的に好感が持てる。



質感向上=魅力向上

トヨタ MR-S  “ポルシェ・ボクスターのトヨタ的縮小版?”ともいえる特徴的なスタイリングはもちろん基本的には変わっていない。 全車共通に丸型フォグランプを備える新デザインのフロントバンパーをはじめ、ヘッドランプは上方アウト型にプロジェクタースモールランプを埋め込んで、ベースもマルチリフレクタータイプとなり、新デザインのテールランプ、クリア色となったサイドマーカー、奥行きのあるデザインとなったサイドインテーク、新デザインのリアグリルガーニッシュ、大型マフラーカッター(SエディションとVエディションのみ)、そして前出の大径化されたリアタイヤ……といった手が入っている。 発売後2〜3年で実施される国産車のマイナーチェンジでは“オリジナルのバランスを崩してしまう”という逆効果のパターンも少なくないが、このMR-Sではどの変更ポイントの非常に効果的だ。 とくに大径リアタイヤと新しいフロントバンパーによる“視覚的な安定感、低重心感”の向上は明らかで、スポーツカーならではの魅力は確実に増している。

 デビュー当時から“質感が不足気味”という指摘を受けていたインテリアも手が入っている。こちらも基本的なデザインはそのままに、エアコン吹き出し口のノブや空調ダイヤルの周囲、ドアグリップ、ドアのツイータースピーカー周囲などにクロームメッキリングを挿入し、さらにメーター類やダイヤルの目盛りをすべて細かくしている。またオーディオ照明の暖色系のアンバーになり、ファブリックのシート表皮を穴あきタイプにし、パワーウインドーに挟み込み防止機能を追加した。MR-Sは実際に安価なクルマだから、個人的には“安っぽい”こと自体は悪いことではないと思う。その意味では従来型でもとくに不満と感じなかったが、まあ市場やユーザーの評価を考えれば、こうした変更も当然だろう。少なくとも前記のような逆効果にはなっていない。

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ライトウェイトスポーツを極める
トヨタ MR-S
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 このサイズのスポーツカーとしては大胆ともいえるロングホイールベース、そして車重1トンを切る軽量設計、そして比較的穏やかなエンジンとの組み合わせもあって、MR-Sはもともとミッドシップとしては異例の安定しきった、だれでも楽しめる現代的なフットワークに仕上がっていた。 最大のライバルであるマツダ・ロードスターが逆にFRならではのテールスライドを積極的に許すキャラクターであるためもあってか、一部には“MR-Sの走りはつまらない”という意見があったのも確かだ。 しかし筆者はそう思わない。MR-Sの考え方はまったく正しい。現代のスポーツカーはロングホイールベースを筆頭としたディメンションで何よりも優先してスタビリティを確保することが必須で、それはフェラーリ360モデナやポルシェ911/ボクスター、そして“フラットライド”のフェアレディZにも共通する21世紀のトレンドである。また、ミッドシップやRRなどのリアヘビー車を“テールスライドさせて云々”というのは完全にプロドライバーの領域の話であり、MR-Sなどのミッドシップ車は“軽いフロント荷重による軽快な回頭性と強力なリアトラクション”をあくまでグリップ限界内で味 わうのが基本なのである。

 新しいMR-Sのフットワークはそうした従来の基本をさらに熟成した印象だ。リアタ イヤをサイズアップしてさらにリアのスタビリティを高め、ボディ剛性を見直したこ とで“リアの減衰力を弱めて、サスペンションをより滑らかに動くように”できたの だという。実際、新しいMR-Sは乗り心地から明らかに良くなった。サスペンションが しっかりと仕事している感触が確実に増し、ゆったりとしたロールスピードでドライ バーに常にグリップ感を与えるセッティングだ。また深くロールしたコーナリング途 中で路面の段差や不整に出合ってもやみくもに進路を乱されることなく、しなやかに 吸収していくフットワークは本当に素晴らしい。

 新しいMR-Sのもうひとつのニュースである6速ミッションだが、現代フラットトル クと軽量ボディの組み合わせでは従来の5速でも不足を感じることはほとんどなかっ たといっていい。そう考えると、通常のMTでは(機械的な完成度ではなく人間の)ミ スシフトの可能性を考慮すると5速と6速は一長一短があると思う。ただし今回の6速 化にともなってシーケンシャルMTのクラッチ作動やエンジン制御をさらに熟成したそ うで、この種のギアボックスの宿命ともいえる“シフトアップ時の空走感”はかなり 改善された。“自動ヒール&トゥ?”によるシフトダウン時の見事さは相変わらずだ から、
トヨタ MR-S
少なくともシーケンシャルMTにかぎっては、楽しさが2〜3割アップといった 印象である。

 高いスタビリティと軽量ボディに裏打ちされたMR-Sの走りはもともと素晴らしいデ キといえ、豊かなステアリングフィール、不足のないブレーキ、穏やかながらも軽快 に吹け上がる1ZZ-FE型エンジン、熟成されたシーケンシャルMTなど、MR-Sの“これぞ 21世紀のライトウェイトスポーツ!”の魅力は確実に受け継がれていると思う。


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