09年10月から段階的に実施が開始された「ポスト新長期排ガス規制」に適合したディーゼルエンジン搭載車を“クリーンディーゼル”と呼ぶ。この規制をパスするには、コモンレール式高圧燃料噴射装置、ターボチャージャー+インタークーラー、冷却EGRなどの燃焼改善装置に加え、PM(浮遊粒子状物質)対策にはDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)が、NOx対策にはリーンNOxトラップ触媒か尿素SCR(選択還元型触媒)の装着が必須となっている。
コモンレール式高圧燃料噴射装置は、かつての機械式燃料噴射装置の2〜5倍に当たる1500〜2500barによる燃料噴射が可能。噴霧が微粒化して空気と良く混ざり、PM低減に大きな威力を発揮する。応答性の高いピエゾ素子を利用した開弁制御によって、1サイクルあたり最大5回の多段噴射が可能。燃焼をゆっくり開始させてNOxを低減できるほか、後期噴射でPMの燃焼を促進させたり、排気行程噴射によってDPFの目詰まり再生やNOx触媒の還元を行うなどの制御が可能だ。
ターボ&インタークーラーは出力増強装置と見られがちだが、ディーゼルエンジンの場合、過給は空気過剰率を増やせるためPM削減に効果があり、インタークーラーは燃焼温度を下げられるため、NOx低減に効果がある。
EGRとは排ガス再循環装置で、空気より比熱の大きい燃焼ガスを吸気に混ぜることによって燃焼温度を下げ、NOxを低減する。EGRガスを冷却すれば、効果はさらに高くなる。
EGRの使用が可能になったのは、軽油の低硫黄化によるもの。軽油中の硫黄分が燃焼してSOx(硫黄酸化物)となり、水蒸気と結合すると硫酸になるため、シリンダー摩耗が増大して耐久性に問題が生じる。そこで05年まで500ppmだった軽油中の硫黄許容量が、07年には10ppmまで下げられた。
DPFはセラミックをスポンジ状に焼いた蜂の巣状のフィルターで、交互に目封じすることでPMを濾し取る。溜まったPMは燃料噴射装置の排気行程噴射で燃焼除去を行う。
リーンNOx触媒は、常に酸素過剰状態にあるディーゼル排ガスからNOxを一時的にトラップしておき、排気行程に燃料を噴射して還元雰囲気を作り出した際にNOxを放出して還元浄化する装置である。
触媒金属に白金を使用するため高価で、NOx浄化に燃料噴射が必要なため燃費が悪化することや、エンジンオイルが希釈して交換サイクルが短くなるなどの欠点がある。
尿素SCRは、排気中に尿素水を噴射してアンモニア(NH3)を生成させ、分子中の水素を利用してNOxを還元する技術。NOxの浄化能力が高いのに加え、還元に燃料を用いないため燃費も悪化せず、エンジンオイル希釈も発生しないというメリットがある。
反面、尿素水を定期的に補給する必要があるほか、乗用車レベルでも10〜20L程度の尿素水タンクや専用の噴射装置を搭載する必要があり、スペースに余裕のない小型車には採用が難しいというデメリットがある。