従来車では摩擦式ブレーキの熱として大気中に放出していた減速エネルギーを、何らかの形で回収し、エンジン効率の低下する発進加速に再利用するのが“エネルギー回生ブレーキ”である。
かつては減速時に大きなフライホイールを回転させて物理的に回生する方法や、油圧ポンプを駆動して空気を圧縮する方法などが試された。フライホイール式は重量増に見合った効果が得られず、実用化にはいたらなかった。空気圧縮式はディーゼルエンジンの排ガス対策として路線バスに採用された例があるが、容積や重量の増加に見合った効果が得られなかったことから、実用的なものにはならなかった。
こうしたことから、現在では減速時に発電機を回し、電気エネルギーとして二次電池に蓄える電気式回生ブレーキに収れんしている。
回生量はバッテリーの単位時間当たりの充電許容能力に左右されるため、減速エネルギーをそのまま回収できるわけではない。発電電圧を高めても、バッテリー能力以上には回収できないため、急減速よりゆるやかな減速を時間をかけて行うほうが、回生効率は高くなる。電気式回生ブレーキによる省燃費効果は、10・15モード走行で10%前後が見込まれる。
電気自動車やハイブリッド車に採用されているのはもちろん、ダイムラーAGのスマート・マイクロハイブリッドのように、アイドリングストップから再始動する際の電力として利用する例もある。
一般の内燃機エンジン車でも、通常走行時にオルターネーターの発電負荷を80%程度に抑えて燃費低減を図り、減速時に100%発電して充電不足を補うという制御を行うモデルが増えている。回収したエネルギーが駆動力として再利用されることはないが、燃費低減につながることや、発電抵抗の増加がブレーキ力の増加として作用することなどから、一種の回生ブレーキと言うことができる。