シリーズ式とパラレル式の長所を合わせ持つのが、このシステム。'97年にプリウスが出現する前までは、「ハイブリッド車はシリーズ式とパラレル式のどちらが高効率か」という議論がさかんに交わされていたが、それを一夜のうちに無意味なものとしてしまった。
実用化したトヨタでさえ、適当な一般名詞が考案できず、固有名詞の「THS(Toyota Hybrid System)」か「シリーズ・パラレル式」を使用していた。その後、動力分割機構を持つことから“スプリット式”という呼び名が定着したが、'75年にはすでに「機械分配式」の名称で特許が認定されており、この名称は当を得たものだといえる。
エンジンからの動力を、プラネタリーギヤ(遊星歯車)を利用して発電と駆動に振り分けるのが大きな特徴。エンジンの出力軸がプラネタリーキャリヤに接続されており、発電機の入力軸がサンギヤに、システムの出力軸がリングギヤに接続されている。駆動用モーターは出力軸に直結されており、常にタイヤとともに回転。減速時には回生発電機として機能する。
三者の回転数は、一定の相関関係の下で連続的に変化させることができ、エンジンとモーターの分担率および駆動力と発電量の分担率を連続的かつ柔軟に変えることができる。
発進加速時には、二次電池に蓄えた電力でモーターのみの走行(またはエンジンのアシスト)を行う。エンジン効率が高くなる高速巡航時には、モーターの引きずり抵抗を中和する程度の発電しか行われず、ほとんどエンジンで走行する。こうした動作形態は「パラレル式的」である一方、エンジントルクの受け皿の一方が発電機となっているため、エンジンがかかっている間はほとんど常に発電しており、その電力が直接、走行に使われる「シリーズ式的動作」も行っている。
動作は複雑でも構造はシンプルで、エンジン回転数のすべてを発電機で吸収してしまえば出力軸は回らないため、クラッチは不要。発電機の回転数を増減すれば、出力軸の回転数も連続無段階に変化し、CVTとしても機能するから変速機は不要。動力伝達はハス歯歯車で行われるため、伝達効率はCVTより高く、マニュアルトランスミッションと同水準に達する。