エコ用語:直噴

直噴

 シリンダー内に燃料を直接噴射するシステム“直接燃料噴射方式”の略称。

 ディーゼルエンジンは空気の圧縮熱で燃料に自己着火させる燃焼プロセスを経るため、燃料はシリンダー内に噴射しないと成立せず、現在の自動車用ディーゼルエンジンのほとんどが直噴である(排ガス低減技術が未熟だった頃は、副燃焼室で燃焼を開始させてから主燃焼に移行する“副室式”や“予燃焼室式”を利用して、NOxPMの低減を図っていた)。

 ガソリンエンジンの場合、均質化した混合気に電気火花で点火するというプロセスを経るため、ガソリンと空気が混ざり合う時間が必要であることから、吸気管内に燃料を供給する方式が主流となって発展してきた。

 一方でガソリンエンジンは、安定した燃焼が可能な空燃比が限られているため、出力調整にスロットルバルブを使用して吸気を絞っており、これが絞り損失となって、燃費悪化の原因となる。そこで、少しでも薄い空燃比で燃焼させ、スロットルバルブを余分に開いて絞り損失を減らそうと考案されたのが、近年の自動車用直噴ガソリンエンジンである。

 シリンダー内に燃料噴射ノズルを設け、圧縮行程に入ってから、着火しやすい空燃比の混合気層を点火プラグ近傍に送り込めば、その周囲は極端に薄い空燃比でも燃焼が成立する。先鞭を付けたのは三菱自動車のGDIエンジンで、55:1という超希薄燃焼(リーンバーン)を成立させていた。

 しかし排ガス中に酸素が多量に残るリーンバーンでは、三元触媒でのNOxの浄化ができず、NOx吸蔵還元触媒は高価で耐久性に劣るのに加え、還元時に燃料噴射が必要となるため、思ったほど燃費低減効果が上がらなかった。

 そこで現在では、各社ともリーンバーンを諦め、吸気行程で燃料を噴射し、理論空燃比の均質燃焼を行う方法に移行している。この方法では絞り損失は減らせないが、シリンダー内で燃料が気化する際に気化熱を奪い、圧縮開始温度が低下(耐ノック性が向上)することから、圧縮比を高めて熱効率を改善することに利用している。一般に吸気管内噴射のエンジンに較べ、直噴は圧縮比を15%前後高めることができる。

 燃料噴射圧力は100〜200bar程度で、ディーゼルの10分の1にすぎない。潤滑性の問題を除けばディーゼルほど条件は厳しくないため、ディーゼルで先行した技術の多くが転用されている。基本的に多段噴射は不要なため、ピエゾ式より安価なソレノイド式の燃料噴射ノズルでも成立するが、BMWは希薄燃焼にこだわったため、1サイクル3回噴射が必要となり、ピエゾ式燃料噴射ノズルを採用した例もある。

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