【ノウシェラ(パキスタン)2日ロイター時事】パキスタンのイスラム系の慈善団体が近年では最悪の洪水に見舞われた住民を支援する活動を開始している。同団体の一部は反政府武装勢力とのつながりがあるとみられている。
パキスタン政府は1000人以上の犠牲者の出た今回の洪水での対応のまずさを批判されており、同慈善団体の活動開始は政府に対する圧力になる。
今回の洪水は、同国北西部を襲い100万人以上の被災者を出したが、外国の援助に頼るばかりで危機管理のまずさが取りざたされてきた政府にとって試金石だ。
イスラム系の慈善団体の支援活動が成功すれば、一般市民の支持を得られるきっかけにもなる。同団体は2005年に死者7万5000人を出したカシミール大地震の際、支援活動を行っている。
イスラム主義者系の慈善団体「ファラハ・イ・インサニアット財団」のスポークスマンは、同財団が救援キャンプ13カ所と医療キャンプ6カ所を設置したと述べ、救急車十数台が応急手当てを施していると語った。他の幾つかのイスラム主義者系慈善団体も救援を申し出ている。
ファラハ・イ・インサニアットは慈善団体「ジャマートダウ」とつながりがあると考えられている。ジャマート・ダウは、2008年にインドのムンバイを襲撃した過激派組織「ラシュカル・エ・タイバ(LeT)」と関係があるとして国連安保理に活動禁止を命じられた。
ファラハのスポークスマンは2日、ロイター通信に対し、「われわれは被災地に深く入っている。われわれは、洪水で孤立した地域の人々や道路脇で難民となっている人々に調理済みの食料を供給している唯一の団体だ」と述べている。
これとは対照的に、パキスタン政府は資金援助を西側諸国に頼る可能性がある。西側は、パキスタンを根拠地としてアフガニスタンの北大西洋条約機構(NATO)軍を攻撃している武装勢力に対処するため、パキスタン政府が取り締まりに一層努力するよう求めている。
米国大使館は緊急人道支援として1000万ドル(約86億円)の拠出を発表、必要なら追加支援するとしている。また欧州連合(EU)は3000万ユーロの拠出を表明した。(了)
写真:パキスタン北西部の洪水被災者、家財を背に避難(2010年8月2日、パキスタン北西部ノウシェラ)