クレプス博士には「自分はTSIの生みの親」という意識が強いようだ。まだTSIが秘密プロジェクトだったときに、チームの一員としてピエヒ会長にその将来性をプレゼンして了承をもらったという経緯もあって、TSIには深い愛着を持っている。
VWの過給エンジンの変遷。ゴルフGTIに搭載された2.0リッターTFSIに始まり、...
この時、ターボ技術ではアウディのほうが経験を蓄積していたので、VWから一時アウディに出向してTSIを開発していたそうだ。この件はVWとアウディの関係を示す好例かもしれない。
第一世代のTSIはターボとスーパーチャージャー(SC)を組み合わせているが、シングルターボでも十分なパフォーマンスが得られることは分かっていたそうだ。しかし、初めて2リッターから1.4リッターに変更するので、パワーダウンしていないという印象を与える目的で贅沢にもSCとターボを使った。しかも低回転域での過給領域を電気モーターで補うTSIハイブリッドのコンセプトも練られていたというから驚きだ。
これまでガソリン・エンジンはパフォーマンスを犠牲にしない範囲で低燃費を追求するという開発が続けられてきた。一方ディーゼルは、燃費をそのままにパフォーマンスを向上する方向を目指してきた。その結果、ガソリンは楽しさの面でディーゼルに差をつけられてしまったのである。日本では誰も信じない出来事であった。