TSIはファン・トゥ・ドライブでTDIに負けないというコンセプトも持っている。日本のエンジン設計者が「走らせて気持ちがよく、環境にも優しいエンジンを開発する」とは滅多に言わないのと対照的だ。
国産車ではマツダが直噴ターボエンジンを手がけるが、ハイスペックモデルの...
燃費の部分では、ギア比をややハイギアードにして燃費を6〜7%アップさせることも可能だったが、最初のTSIはあえてそこまでは手を入れなかった。TDIのスポーツ性に魅了された人なら、TSIのよさもわかってもらえるはずだとプレプス博士は考え、そうしたエンジンを作ることが博士のこだわりであった。
過給エンジン+直噴システムでダウンサイズし、燃費と愉しさを向上させていくのがVWの方向性だ。TSIコンセプトとはつまり、直噴ガソリン・エンジンの進化の展望であり戦略なのである。より小さな馬力のエンジンに仕立てることも可能だし、200ps級のエンジンも実現している。VW(Volks Wagen=国民の車)は、その名の通りピープルズ・カー、国民車を作る自動車メーカーなので、信頼性とファン・トゥ・ドライブの両立が必要だと力説していた。
VWは環境に対しての責任を誰よりも強く感じている。TSIはパワーウォーズのための技術ではなく、繰りかえすが、ガソリン・エンジンの進化の方向性を示したものなのである。2015年、そして2020年に迫った厳しい燃費規制を、フォルクスワーゲンはきっとこの技術で乗り越えていくはずだ。