| 結局、フランクフルトからパリを往復、そしてフランクフルトからニュルを往復と総計およそ1700kmも走ってしまった私。つくづく思ったのはここヨーロッパ、特にドイツはクルマをトコトン味わえるということだ。 |
| ニュルはもちろん、私は今でも覚えていが、高速道路でフランスからドイツに入ると景色が急に変わる。それまで130km/hぐらいでトロトロ走っていたメルセデス、BMW、ポルシェの“顔色”が変わるのだ。突然、グォーっと叫ぶようなエンジン音を周囲に轟かせて、ビュンビュンと追い抜かされる。一瞬、流れに乗り遅れた私は、急斜面で置いてけぼりを食った初心者スキーヤーのよう。 |
| 「うわー、あの勢いで行くのか。おいつけねぇよ…」。ヨーロッパのクルマ社会は良くも悪くも弱肉強食である。遅いから食われるということはないが、速さは正義である。特にドイツでは。しかも、それはひとたび慣れてしまえば手放せなくなる。ある一定以上のスピードから、移動は“仕事”から“快楽”に変わるのだ。 |
| そういう意味で、ヨーロッパ版のタイプRは、日本版に比べて実際問題として“使える”。確かにギンギンだった旧型タイプRに比べ、硬派ぶりは落ちたという評判であり、ニュルでたまたま知り合ったイギリス人クルマバカ、ナイジェルも「僕は日本製タイプRの方がいいな。エンジンが凄いし、足もいいから」と言った。タイプRオタクはワールドワイドなのだ。 |
| しかし私が思うに、このホンダの宝とも言える200馬力オーバーのK20Aユニットを“広く長く”味わい尽くすにはこの仕様しかないのである。大雑把に1速8000回転で時速60km/h、3速で120km/h、5速で200km/hに達するヨーロッパ版タイプR。6速を使うのはまさに“その先”であり、決して日本のようなオーバードライブ用ギアじゃない。マジな200キロオーバーの世界のためにある。 |
| だから、ヨーロッパを走り始めて気付いたのはエンジンの存在の大きさだ。というかクルマの味わい方の変化だ。よりキモチのいいエンジンをより長く味わっていたい…そう思った時、こちらでは日本版タイプRではなく、ヨーロッパ版タイプRになる。もちろん走りのキレは若干落ちるかもしれない。ただ、サーキットはもちろん、一般道でも高速でもずっと楽しく、ずっと“イケて”しまう…。こっちの方が正解なのである。 |