■開発中のS206をニュルでキャッチ
11月上旬のある日、なにか面白いクルマが走っていないかと取材帰りに立ち寄ったニュルブルクリンク北コースで、水平対向エンジン独特のエグゾーストノートを奏でながら猛烈な速さで駆け抜けていくブルー・メタリックのWRX STIに遭遇した。
「もしやアレはWRX STI tS?」。しかし、tSは2010年に日本だけで販売した限定モデルである。わざわざドイツに輸入したのだろうか? それともスバルがなにかテストしているのか? どちらにしても面白い事になりそうな予感がした我々は、クルマの正体を確認すべく急いでパドックへ向かった。
パドックには、すでにコースから戻ってきたインプレッサが停まっていた。そしてコクピットから出てきたのは、なんとこの“世界一過酷なサーキット”を1000周以上走行した経験を持つ、STI車体実験部の白鳥文昭氏だったのである。白鳥氏によれば、東京モーターショーでお披露目され、2012年1月30日に300台限定でSTIから発売予定のコンプリートカー、S206の実走テストを行っているのだという。
■開発中のS206をニュルでキャッチ
11月上旬のある日、なにか面白いクルマが走っていないかと取材帰りに立ち寄ったニュルブルクリンク北コースで、水平対向エンジン独特のエグゾーストノートを奏でながら猛烈な速さで駆け抜けていくブルー・メタリックのWRX STIに遭遇した。
「もしやアレはWRX STI tS?」。しかし、tSは2010年に日本だけで販売した限定モデルである。わざわざドイツに輸入したのだろうか? それともスバルがなにかテストしているのか? どちらにしても面白い事になりそうな予感がした我々は、クルマの正体を確認すべく急いでパドックへ向かった。
パドックには、すでにコースから戻ってきたインプレッサが停まっていた。そしてコクピットから出てきたのは、なんとこの“世界一過酷なサーキット”を1000周以上走行した経験を持つ、STI車体実験部の白鳥文昭氏だったのである。白鳥氏によれば、東京モーターショーでお披露目され、2012年1月30日に300台限定でSTIから発売予定のコンプリートカー、S206の実走テストを行っているのだという。
STIの最新作であるS206は、過去に販売されたS203やS204、R205と同様に、インプレッサWRX STIの4ドア・セダン(2.0リッター・ターボ、6速MT車)をベースに、内外装を一層スポーティかつ上質に仕立てるとともに、専用チューニングによりシャシーおよびパワーユニットの性能をさらに引き上げた、いわば“究極の”インプレッサだ。
■緊急インプレッション!
テスト車両で一般道やアウトバーンを走行してみたところ、そのシャシーの完成度の高さに驚かされた。STIは現在、元スバルのエーステストドライバーである車両実験部部長の辰巳英治氏のもと、“強靱でしなやかな走り”を備えた“運転が上手くなる”クルマを造ることをコンセプトにコンプリートカーを開発しているが、今回のS206では、そのコンセプトがWRX STI tSからさらに上のレベルで具現化されていたのである。
足まわりはそれなりに引き締められているものの、路面の継ぎ目や段差などでも突き上げを不快に感じることはほとんど無い。サスペンションとボディが衝撃をビシッと受け止め、その後に振動が残らないのである。しかしサスペンションがガチガチに固められているわけではなく、路面の細かな凹凸をしなやかにいなすので、乗り心地は極めてフラットで快適だ。まさに“強靱でしなやかな走り”という言葉で形容するにふさわしい乗り味である。
ステアリングフィールもこの上なく気持ち良い。コーナーに向かって剛性感に溢れたステアリングを切り込むと、狙った走行ラインにピタッとクルマを乗せることができ、切り戻しや切り増しをする必要がまったくないのである。これはスタビリティ性能が優れていることに加えて、カーボンルーフによる低重心化や、ローリングスピードおよびその許容量が絶妙にコントロールされていることが理由だと想像できる。つまり、クルマの動きにまったく無駄がないのである。
■日本市場を想定したセッティング
平均速度が日本の高速道路よりはるかに高く、200km/hオーバーで走るクルマも少なくないアウトバーンでも、S206のシャシーはその実力をいかんなく見せつけた。たとえ車速が200km/hでも、ステアリングがブレるようなことは無く、4本のタイヤがピタッと路面を捉えながら矢のようにまっすぐ走るので、運転がとても楽なのである。乗り心地も180km/hあたりまではすこぶる快適だ。200km/h付近では若干ピッチングする感じがあるが、白鳥氏によればこの傾向は足まわりが日本市場を想定したセッティングになっているためだそうだ。
それにしても、STIは日本市場のみで販売するモデルを、わざわざドイツで開発しているのだろうか? この疑問を白鳥氏にぶつけてみたところ、次のような答えが返ってきた。「日本では高速道路でしか出せない速度で一般道を走ることも多いドイツの交通環境は、“クルマの良し悪し”が解りやすいと思います。だからこちらで評価すればクルマをより鍛えられるのです。評価する人間を鍛える場としても適していると思います」。この答えにはとても説得力があった。