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試乗レポート   

アウディ
R8

レポート:島下泰久
写真:アウディ ジャパン
試乗ステージ:ラスベガス周辺

※本文およびデータはすべて欧州仕様車のものです。

アウディ R8
アウディ R8

アウディ初のミッドエンジン・スポーツカーとなるR8は、03年のフランクフルトショーで発表された「ルマン・クワトロ」の市販バージョン。ルマン24時間で5勝を遂げたレーシングマシンのR8から、その名を受け継いでいる。前後と横に大きく開いたエアスクープは、設計初期段階で必要となるエンジンやブレーキの冷却エア量から算出されたもの。ロゴのシルバーフォーリングスはボンネット上に置かれる。

アウディ R8

リアセクションはテールランプ下に大型のエアアウトレットを備える。CD値は0.345だが、これは、300km/hを越えるR8の場合、空気抵抗係数よりもダウンフォースの発生により力点が置かれるため。アンダーボディ(主に前後ホイールアーチ前とリアエンド部分)はレーシングカーと同様、風洞実験を駆使して設計されたディフューザーでほぼ覆われている。このフラット化が路面との間に低圧部を生み、ボディを路面に押さえつける。

毎日のアシにできそうな柔軟性

 ル・マン24時間を幾度も制した伝説的レーシングマシンの名を冠し、随分と挑戦的なスタイリングをまとうにも関わらず、アウディはR8をスーパースポーツではなく、より日常性を意識したハイエンドスポーツモデルであるという。つまりライバルはフェラーリやランボルギーニではなく、ポルシェ911やジャガーXK等々だということ。コンセプトカー「ル・マン・クワトロ」の最高出力610psを発生する5リッターV10バイターボではなく、420psの4.2リッターV8というエンジン選択には、ナルホドそれが端的に表れている。

 そして確かに走りっぷりも、素晴らしく気持ち良いものに仕上がっているけれども、ゾクゾクするほど刺激的というものではない。しかし、そのぶん乗り心地や操作性等々には毎日のアシにだって出来そうなほどの柔軟性が備わっているのも事実。要するにS/RSモデルの延長線上にある、日常性と巧みに融合した爽快な走りを、人目を惹くスタイリングとアウディらしい高いクオリティで包み込んだのが、このR8だと表現することができるだろう。

 率直に言って、最初は肩すかしを喰らった気分になった。けれど実際にそのステアリングを握ってみると、それが現在911に乗っている自分にとっては妙にリアリティの強い感触で、気付くとR8とともにある日常を頭の中で思い描いてしまっていたのだった。そう、R8のターゲットは、まさしくそんなユーザーなのである。

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