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試乗レポート   

BMW
M6 

レポート:五味康隆
写真:木村博道
試乗ステージ:都内〜箱根

【 BMW M6 】

全長×全幅×全高=4870×1855×1370mm、ホイールベース2780mm、車両重量=1820kg、駆動方式=FR、エンジン=4,999cc V型10気筒DOHC(507ps/7750rpm 53.0kg-m/6100rpm)、トランスミッション=7速SMG、タイヤ=F:255/40ZR19 R:285/35ZR19、車両本体価格=1560万円
BMW  M6
BMW  M6
スロットルをパーシャルの状態にしておけば、終始ジェントルな穏やかさを保って快適なドライブを堪能できる。19インチタイヤの突き上げはほぼ皆無であり、最も固い減衰力を選択しても路面からの突き上げは不快ではない。
BMW  M6
1800kgを超える巨体が箱根のタイトコーナーを水を得た魚のごとく意のままに操ることを可能としたシャシーの出来の良さに感服。4000rpmを超えてから始まるエンジンドラマは圧巻の一言。

大トロよりも旨い赤身

 年間300台近く様々なクルマに試乗する機会がある中で、M6ほど乗り続けたいと思ったクルマはない。数日間の試乗を通じて確実にいえる言葉だ。

 ただ単に507馬力を発生させるパワーが魅力などという単純なものではなく、街中での乗りやすさやハンドリング面などを含めた走りのバランスが高次元で併せ持っていたからこそ感じたもの。

 世の中には、スポーツカーでも「走る、曲がる、止まる」というクルマの基本性能のうち「止まる」性能が劣っているモノも多い、だが、M6は前後に大型ブレーキローター&キャリパーを採用し「いつでも止まれる」という安心感を与えてくる。だからこそ踏みたいときにアクセルを思いっきり踏み込める気持ち良い走りが可能であり、単なるハイパワーではなくそのハイパワーを使いこなせるところが大きな魅力。

 さらに独特のプレミアム性の高さも光る。フェラーリやアストンマーチンなどで感じたプレミアム感とは異質なるもの…。たとえば、フェラーリの場合、クルマ自体が目立ち過ぎるので、気負いすぎたり、周りの目線が気になってしまって妙な疲れを感じてしまう。コレは好きなクルマを日常の足として使いたいと思うボクの観点では「無駄に目立つプレミアム性」とも。だが、周りの目などが気にならないで済む程度の控えめなプレミアム感を生み出す「目立ちすぎないプレミアム感」を持つM6こそ、理想的なプレミアムと思えてくる。

 スポーツ性と実用性を高次元で兼ね備え、Mの頂点に君臨するM6。例えるならば見た目通りの旨味を伝える超高級大トロがフェラーリならば、見た目は普通の赤身だとしても、噛むほどに口の中一杯に広がるめったにお目にかかれない厳選された味の深みをもった赤身のようにとでもいったらいいだろうか。飽きることなく味わえるその道の“ツウ”が好むような魅力をM6のドライブを通じて強く思うのだった。

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