ドライビングよりも助手席の女性を
というわけで新型XKは、機械として著しく進歩しているのは間違いないのだが、しかしだからといってスポーツカーとしての濃度が飛躍的に高まったわけではない。
依然としてジャガーXKは、高速道路や流れのいい一般道を普通に運転しているような状況では、クルマを意識しているパーセンテージは精々40%程度ではないかと思う。つまり、XKのドライビングを心地好いと感じながらも、明日の仕事の進め方とか夏休みの過ごし方、あるいは助手席に座っている女性と今以上に親密になる方法に思いを巡らすといったことに、必要とあれば意識の60%を使うことができるスポーツカーだということだ。
これがポルシェ911のカレラやカレラSだと、ティプトロで50%、MTでは60%ほどの意識をクルマそのものに払っているのではないかと思うし、マセラティ・グランスポーツあたりだとエンジンの自己主張が強く、ハンドリングにもそれなりにクセがあるので、運転中に70%くらいはクルマを意識している必要がありそうだ。だからXKの精々40%程度というスポーツカー濃度は、スタイリッシュでドライビングの気持ちいいクルマに乗っていたいけれど、クルマ以外のことも色々考えていたいという年収3000万円レベルの大人が日常的に使うスポーツカーとして、なかなか好ましい数字なのではないかと思う。
したがって、スポーツカー濃度40%では物足りないぜ、という硬派な御仁は、遠からずXKのバリエーションに加わるはずのスーパーチャージドV8搭載モデル、車名おそらく「XKR」の出現を待つことをオススメしたい。“ギュイーンン”と唸るブロワーの悲鳴とそれが見舞ってくれる強烈な加速によって、スポーツカー濃度が標準のXKより20%ほどの上昇を見るのではないかと想像できるからだ。










