セルシオにはない価値
LS460は、基本的にセルシオの延長線上にある。静粛性の高さでは欧州のプレミアム勢を圧倒するという伝統もちゃんと受け継がれている。接地感のなさから空飛ぶ絨毯のようだと例えられた乗り心地は、4輪が路面をつかむ感覚を獲得しつつ少々の課題は残されているものの快適さとして生かされている。インテリアのデザインまでセルシオと同様にコンサバになってしまったことは残念だけれど、見事な風合いを感じさせてくれるセミアニリン本革張りのシートは新車でありながら使い慣れたソファーのように体に馴染む。この点については、セルシオの質感を完全に越えている。しかも、LS460はセルシオにはない価値を備えている。セルシオも、実はハンドリングにしろスタビリティにしろ、欧州のプレミアム勢と比べても勝るとも劣らないレベルに達していた。でも、それを試そうという気持ちになれなかった。高級で快適なサルーンというだけで乗る人を満足させていたためもある。LS460も、日常的な場面での快適さは十分に満足できる。ところが、それだけでは済まさない、その先を確かめたくなるような、誘いかけがある。そして、その誘いかけ具合がみごとだ。日常的な場面で余計な刺激を与えることなく潜在意識に働きかけ、アクセルを踏み込み、ステアリングを切り込んでみたくなる気分にさせる。もちろん、その先で期待を裏切ることはない。レクサスの本質である「感動の時間の提供」とは、こうした過程に込められた価値なのだと思う。



