熟成をつづける定番エステート
世界的大ヒットとなった850シリーズの後継モデルとして生まれたV70は、2000年1月のデトロイトショーでデビュー。日本には同じ年の 4月から導入されているから、登場からすでに6年も経っている。国産車のモデルサイクルが4〜5年程度と考えると、モデルチェンジの噂もなく、いまだ主力モデルとして君臨しているのは驚異的だ。その原動力になっているのは、欧州ならではの執拗なイヤーモデル制だろう。毎年秋に着実に進化とネガ潰しを重ねるボルボ車は、ステアリングを握るたびに明確な洗練をみせる。V70に話を絞っても、03年に4WDモデルの排気量が100cc上がって2.5リッターに、04年にはFFの低圧ターボモデルも2.5リッターに引き上げられ、05年にはエクステリア変更や、T-5シリーズに新開発2.4リッター高圧ターボを搭載、06年には、エントリーモデルのV70の2.4リッター直5も上位モデルと同じものに、高性能版のV70Rがカタログモデルになり、ルーフレールが標準、T-5スポーツにアクティブサスのFOUR-Cを装備…と話題に事欠かない。とはいえ、ボルボ・イヤーモデルの進化における本質は、もっと別のところにあるというのが、乗り比べた側の共通の感想ではないだろうか?
気合いの入れようによっては、シャシーやサスペンションまでも一新するフルモデルチェンジ車は、確かに旧モデルとの大幅な違いを実現するが、従来あった魅力をトレードオフにしてしまうことも多い。常にテクノロジーの進化にさらされ、生産コストにがんじがらめの開発現場では、最新のスペックと熟成されたハードウエアだけが持ちえる魅力の両方を選ぶ余裕はなく、特に国産車などでは数値化できるスペックが優先されてしまうのが常だ。短命なモデルサイクルでは到達し得ないテイスト=持ち味に価値を見いだすボルボのようなメーカーは、今や貴重な存在といえる。












