フロントミッドに搭載される可変吸気カムシャフトを備えるアストン自製のオールアルミ製V8はクーペ同様ドライサンプされる。1500rpmで最大トルクの75%を発生するフレキシビリティをもつ。
ギアボックスはコンベンショナルな6速MTと、シーケンシャルの2ペダル6速MT「スポーツシフト」が用意される。写真はスポーツシフト用のステアリングパドルで鍛造マグネシウム製。従来のMTに比べてシフト所要時間が0.2秒と、1/3に短縮されるという。
こちらはMT仕様で、ギアパターンが刻印された一般的なシフトノブとなる。ステアリングはチルト&テレスコピック。センターコンソール上部の長方形の蓋は、欧州仕様では12cmのリトラクタブル式液晶モニタが収納される。
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硬派なオープンであるところにソソられる
パワーユニットはクーペと変わらず、380ps/7000rpmのパワーと410Nm/5000rpmのトルクを生み出す4.3リッターV8で、トランスアクスルの6段MTを介して、クーペの80kg増しという1710kgの車重を引っ張り上げる。80kgといえば、重めの人間1人分に相当するが、ドライビング中にクーペに対する重さを実感することはなかった。ちなみに0〜100km/h 5.0秒の加速と280km/hの最高速データは、クーペと変わっていない。 実は今回の試乗車の大半は、スポーツシフトと呼ばれる新しい2ペダル6段MTを装着していたが、その操作感は概ね自然で、好感の持てるものだった。というのは、V8ヴァンテージのMT仕様は、リアに搭載したイタリアのグラツィアーノ製6段ギアボックスのシフト作動が重く、素早いシフトを決めにくいなど、必ずしもギアシフトが悦びであるとは表現しがたいからだ。ならば、MTよりも確実に素早いシフトが可能で、ステアリングコラム固定式のシフトパドルのタッチも歯切れのいいスポーツシフトの方が好ましいと、MT派の僕でさえ思う。この手の2ペダルMTの常で、シフトアップ時には若干の違和感が残るものの、マニュアルシフトは素早く決まるし、必要とあればオートマチックモードもスムーズに使える。さらに、車庫入れや軽度の坂道発進の際などに有効なクリープも備わっているなど、アストンのスポーツシフトはけっこうスグレモノなのである。 したがって、そいつを小気味よくマニュアルシフトしてエンジンを望む回転域に保ち、フルオープンにしたヴァンテージ・ロードスターをプロヴァンス山間の空いたワインディングロードに舞わせる仕事は、痛快この上ない。4.3リッターV8はイギリスのエンジンらしく中速におけるレスポンスが抜群に力強く、軽く踏み込めばロードスターボディをぐいぐいと押し出していく。その際、回転数とスロットル開度に応じてマフラー内のバルブが開閉し、深く踏み込むと左右のテールパイプから叩きつけるような爆音が奏でられるのが、ブリティッシュロードスターを駆り立てる気分をいやが上にも盛り上げてくれる。実はこの排気音、石川さんという日本人エンジニアがサウンドをチューンしている。 V8ヴァンテージ・ロードスターの日本でのプライスはクーペの148万円高で、MTが1645万円、スポーツシフトが1700万円。大抵のクルマでクーペが好きな僕も、こいつならロードスターが欲しいという気分になった。例えばポルシェ911のカブリオレが明らかに軟派な方向を向いているのと対照的に、ヴァンテージ・ロードスターはブリティッシュらしく硬派なオープンスポーツを志向しているところが猛烈に刺さるからだ。 ボディカラーはカリフォルニア・セイジといういかにもアストンなオリーブ系のメタリックグリーンを選び、チタングレーのトップを組み合わせる。で、内装は何色に・・・。そうそう、こいつは男がクルマ遍歴の果てに手に入れる最後のオープンスポーツに相応しい佇まいを持っているだけに、色選びはとことん慎重に愉しみたいものである。
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