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試乗レポート   

BMW
M3

レポート:五味康隆
写真:中野英幸
試乗ステージ:都内〜もてぎなど

【 M3 】

全長×全幅×全高=4615mm×1804mm×1418mm、ホイールベース=2761mm、車重=1655kg、駆動方式=FR、エンジン=4.0リッターV8DOHC [309kW(420hp)/8300rpm、400Nm(40.8kg-m)/3900rpm]、トランスミッション=6速MT、価格=996万円

BMW M3
BMW M3

インテリアはファブリックとレザーを組み合わせたベーシックと、オプションでノヴィロレザーが用意される。後席は2名がけだがフルサイズのシートが与えられた。ラゲッジルームは430リッター。回転計はオイル温度上昇とともにイエロー&レッドゾーンを高めるバリアブルウォーニング付き。NAVI、16スピーカー&9チャンネル825Wのデジタルアンプなどアメニティも豪華。

BMW M3

6速MTシフトノブの脇には、パワー・DSC・EDCのスイッチが並ぶ。オプションのEDCはダンパーの油圧を電子制御してノーズダイブやリフト、コーナーリング時のボディロールを抑える。ECUも3つのマップを持ちiDriveで選択が可能。高性能バッテリーも搭載し、エンジンが駆動力を供給中は出力向上のためにオルタネーターは停止し、空走状態やブレーキング時に回生を行うインテリジェント・エネルギー・マネジメントも搭載する。

スポーツカーの見方が変わった!

 様々な走行シーンを経て、某チューニングショップオーナーとの会話を思い出した。あるエンジン回転数を境に出力が向上する感覚を出すために、低回転域の出力をあえて絞る。グリップ力や速さを求めるなら足回りを柔らかくしたいが、ゴツゴツ感のある硬い足周りでスポーツ性を演出する。要約すると、ノーマルカーにはない刺激を与えると、客に喜ばれる傾向にあるという内容だ。

 そう、まさに今回のノーマル状態のM3の乗り味には、この種の刺激が少なすぎるのだ。振り返ると、歴代のM3には乗り心地に適度なゴツゴツ感であったり、排気音で出力が盛り上がる感覚を演出したりと、いつでも刺激を感じられた。もちろん足回りは硬ければよいと言うものではないが、適度な硬さは路面のインフォメーションを正確に伝え、さらには適正な操舵をし易くするものであり、スポーツドライブには欠かせないもの。

 では、なぜこのようなノーマルカーを髣髴させる乗り味をM3が持っているのか。これこそEDCとパワーボタンという、電子デバイスの成せる業。EDCをスポーツ(ハード)に設定し、パワーボタンを押すと、M3は激変する。一般道での乗り心地は、不快なレベルにまで達する。エンジンのレスポンスが良くなり、少しのアクセル操作にも反応し操作に気を使うようになる。

 これらの性能を使いこなせれば、サーキットではタイムを計るまでもなく歴代最速と断言できる速さで走れる。そこには、スチール製に対し5sの軽量化を求めてカーボンルーフを採用してコーナーリング性能を高めた造り。速さの源でもある420馬力を発生させるV8を搭載しつつも、エンジン重量は先代M3に搭載されていた直6よりも15sも軽く造り回頭性能を高めていること。このような速さに繋がるスポーツ性の本質を追及した細かな造りも見逃せない。

 以前、ドイツでMモデルの開発責任者に「Mモデルとは?」と聞くと、「レーシングカーに一般道でも走れる実用性(快適性も含め)を持たせたクルマ」と答えた。まさに今回のM3は、スポーツ性でもハイパフォーマンスであり、快適性などの実用面でもハイパフォーマンスであるという、理想的と思える2面性を持ち合わせて登場したのだ。

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