ホンダ、恐るべし
フィット最大のウリであるユーティリティの高さも、「さすが!」だ。ドリンクホルダーはそんなにいっぱい作らなくても!と思うほどで、10箇所もある。その上、単に数を増やすだけでなく、シフトゲート前のそれは、仕切りを設けて小物を賢く収納する技も持つ。またセンタータンク・レイアウトゆえのチップアップ式リアシートは先代より簡単に扱えるワンタッチ式とした他、ラゲッジに与えたフレキシブルラゲッジボードによる荷室の4変化は、思わず膝を叩く。これらはほんとに「よく考えたなー」と感心しきり。まさにカユいとこに手が届くユーティリティでライバルをブッちぎる。またエアウェイブで好評のスカイルーフも備えるなど、エンタメ的要素も忘れない。さらに視界のよさも革新し、取り回しも先代に負けない。この辺りの熟成と仕上げには執念を感じるほどで、まさに「ホンダ、恐るべし」だ。 見た目も中身も完全に先代を凌駕した新型フィット。それだけに残された使命はただひとつ、つまりは販売で先代を上回れるかだ。この辺りを考察するなら、受け入れ側である我々ユーザーの志向(最大公約数的なもの)が01年当時とどれだけ変わったか?ということが密接に関わると思う。つまり01年当時、初代フィットはそれまでのコンパクトカーの概念を覆すスペースおよびユーティリティと燃費のよさでウケた、と僕は読む。が、時間とともにライバルもそこに追いつき、逆に今やライバルは個性の強さをアピールする時代に突入した感もある(例えばデミオ)。そんな中で新型フィットの提示する「以前より良くなりました感」がどれだけユーザーのハートを掴むか? もちろん新型フィットに個性がないわけではない。が、先代からの順当かつまっとうな成長は、ハードウェアとしての進化と素晴らしさを存分に感じさせる一方、果たして新しく見えるか?個性が強く見えるか?という問いに対しては少しばかり心配がないわけではない。もっともそれほど急に我々ユーザーの多くが個性に走る…とは思えないから、しっかりと台数は確保するだろう。事実、先代の保有台数は90万台近くあるわけで…。その意味では新型フィット、コンパクトカーユーザーの“今の気分”を数値で表すはず。そう考えると余計に、今後の販売の推移から目が離せない1台でもある。
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