クッションのたっぷりしたシートは長距離でも快適だ。シート後方には意外なほど荷物をおけるスペースがある。ボディカラーは250色、内装色は25色で、内装はツートーンも可能だ。シートは合皮製で、本革シートは20万円のオプション。HDDナビ・ETC・電動格納式ドアミラーなど一通りのアメニティは標準。
その昔城下町として栄えたという、昭和の香りのする石岡市でオバチャンのミニサイクルと併走。取材スタッフの間では神社や古都が似合いそうな姿に、“もののけ”が宿っていそうという感想も。
試乗車のシリアルナンバーは005。今も開発スタッフの多くがかかわっているというオロチの生産は、1台ごとに組み付け精度が上がっている。2005年の東京モーターショーで登場したヌードトップロードスターは市販化されるのだろうか?
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日本人の心の琴線に触れる
オロチに乗って、正直、こんなに完成度が高いとは思わなかった。いちばん最近経験したミツオカ製品は、K-1という80万円の50ccキットカーだが、1分の1のプラモデルみたいなあれとは、まったく別物だ。オロチは、光岡自動車史上初の超大作の名に恥じない完成度の持ち主である。 超高性能を狙わないスーパーカー、というコンセプトは、とりわけこの日本において、“あり”だと思う。だって、イタリアン・スーパーカーのような馬力荷重3kg/psなんてパワーを、いったいこの国のどこで満喫しろというのか。ちょっとした火山みたいなV8やV12を背負って走っていると、フト、気づく。「ワタシは、エンジンを運ぶために走っているのではあるまいか!?」。そんな徒労感も、このクルマなら感じずにすむ。 一方、押し出しは、どこから見てもスーパーカーである。それは、試乗中、どこへ行っても異様なほどの注目を浴びたことでもわかった。最近、フェラーリやランボを試乗していると、見て見ぬふりのような、微妙にイヤーなカンジを感じることがままある。その点、オロチを見る人の目は、はるかに無邪気で素直に感じられた。このカタチが、日本人の心の琴線に触れるエモーションを持っているからではないか。このまま「オロチ神社」を名乗ってもおかしくないような、日本的なニュアンスがこのデザインにはあると思う。 現在、月産3〜4台ペースで、1台つくるのに3カ月半を要する。9月以降は月産5台程度に増産するという。ハンドメイドでこしらえるのは、約30名の開発部スタッフ。設計した人が、製作も手がける。オロチづくりの現場には、ホワイトカラーもブルーカラーもない。申し込み時に車両価格の約20%にあたる200万円を収めると、やがて営業マンがオロチに乗ってオーナーの元へ参上する。そこで、実車を見ながら、細かな仕様を決める。そんなふうに、昔の呉服屋さんみたいな手厚さでクルマを仕立ててもらえる経験も、オロチならではだろう。
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