高性能ブリティッシュスポーツカーの老舗ブランド、アストンマーティンは相変わらず元気がよさそうに見える。決して規模の大きいメーカーではないにもかかわらず、かなりいいペースでニューモデルを世に送り出していることから、それが窺える。最近では、V8シリーズの高性能版たるV8ヴァンテージSを発表したと思ったら、それに続いて3月のジュネーヴショーにV12シリーズの新作、ヴィラージュをデビューさせた。
しかもアストンマーティンはジュネーヴショー直後の3月に、V8ヴァンテージSとヴィラージュの2モデルの国際プレス試乗会を、気候の温暖な南欧イベリア半島で開いた。スペイン南西部アンダルシア地方マラガ県、その県都である地中海に面した港町マラガから内陸部に向けてクルマで1時間強ほど走ったところにある断崖の上の旧い要塞都市ロンダ周辺の、スケールの大きい景観のなかを走るワインディングロードと、そこにあるプライベートサーキット、アスカリレースリゾートがその舞台である。
フェラーリを駆って1952年、53年と2年連続でF1ワールドチャンピオンとなったミラノ生まれのレーシングドライバー、アルベルト・アスカリの名を冠したそのサーキットのコースは、変化に富んだコーナーとストレートからなる全長が5km以上はあるかと思われる立派なものだが、しかしここはレースをするためのサーキットではない。西ヨーロッパの某国の富豪がオーナーで、もともと自分が好きなクルマを走らせるために造ったものだという。だからガードレールは最小限だし、観客席のスタンドも見当たらない。
僕自身、2年ほど前にアウディR8 V10の試乗会で走った経験のあるその通称アスカリサーキットで今回ドライビングしたアストンは、V8ヴァンテージSだった。