アウディが開発した最新のクリーン・ディーゼルは、想像以上にスウィートだった…。クルマに乗ってこれほど素直にインプレッションが湧き起こったのは何年ぶりだろう。日々クルマに触れる仕事をしていると、多少なりとも不感症になってくるし、新米ジャーナリスト(私のこと)でもたいていのことは予想できる。でも、アウディが開発した最新のクリーン・ディーゼルは、ものの見事に既成概念を打ち破ってくれたのだ。
北米や日本で発売するためには、欧州規制の新基準になる「ユーロ5」よりさ...
カナダ・トロントで開かれたこの試乗会の最大のウリは、世界一厳しい排ガス規制「Tier2 BIN5」をクリアする新型ディーゼル・エンジンだった。ところが実際、BIN5をクリアする3リッターV6・TDIユニットを積む「A5ウルトラローエミッション」のステアリングを握ってみると、環境性能を云々する前に、エンジンのスウィートさに感心してしまった。
恥ずかしながら、ディーゼルのウリは中低速域でのトルクだと思っていたが、240ps/500Nmを発揮する3リッターV6・TDIユニットは高回転までスムーズに回転を高めていくスポーティなエンジンだ。エンジンの静粛性が優れる上に、A5/A4の開発にあたって新設計されたプラットフォームのできがよく、ノイズの進入やフロアからの振動を抑えてくれる。クリーンかどうかは目に見えないのでデータを信用するしかないが、このエンジンが「ウルサイ」「振動がひどい」「もたつく」といったディーゼルのステレオタイプからかけ離れており、静かでスポーティであることはすぐに感じ取れた。