2010年、アウディが日本でクリーン・ディーゼルを発売する。「世界中のどこで走るアウディも、同じようにクリーンであること」を前提に、世界一厳しいカリフォルニア州の排ガス規制、TierIIBIN5をクリアする「Q7(ULEV仕様)」を、ひと足先にアメリカで発売し、後に日本にも導入するのだ。
なぜ、今、ディーゼル車を発売するのか。日本やアメリカからディーゼル乗用車が消えた約10年の間に、コモンレールやDPFの発明により排ガスがクリーンになった。ピエゾ燃料噴射装置の開発でノイズが格段に下がり、可変バルブターボによって低速域からでも自在にトルクを得られるようになった。
そして今、ヨーロッパで走行性能を鍛えられたディーゼル車は、アメリカや日本を目指すことで環境性能を高めつつある。アウディが今回、NOxの後処理技術として採用した尿素SCRは、ディーゼル車の最大の魅力である燃費性能を削がずに排ガスをクリーンにできることから、欧米では今後の主流になりつつある。
しかし、尿素SCR技術には尿素タンクの搭載スペースや尿素水の補給に関するインフラの整備といった課題がある。もちろんアウディでも、A3以下のモデルでは、尿素を必要とせず、コスト・コンシャスなリーンNOx触媒の検討も行なっている。
そのニュースが流れた数週間後、アウディのディーゼル車に乗ってアメリカ大陸を横断しないかという誘いを受けた。日本では、2010年まで待たなければステアリングを握れないアウディの最新ディーゼルに乗れることに胸が躍った。一方で、日本同様にディーゼル車に対して悪いイメージがあり、かつガソリンより軽油が高いアメリカでディーゼル車が受け入れられるかどうか、実際に現地の反応を肌で感じるチャンスだと思った。