知的でクールなイメージのアウディが「RS6」というとんでもないスーパーワゴンを開発した。昨年登場したミッドシップスポーツカーのR8をいとも簡単に抜き去る(直線では)ことができるRS6は、アウディから細胞分裂した独特のパフォーマンスを持っている。5リッターV10では満足せず、ツインターボというサプリメントで強化されたパワーとトルクはアウディ史上最強の580ps/650Nmというパワーとトルクを発生する。
こんなモンスターカーがこの環境の時代に登場したことをどう受け止めればいいのだろうかと、ちと不安になったりする。そう言えば今年日本では洞爺湖サミットが開催され、ますます環境に対する意識が強まるはずだ。きっと読者の中にも「環境の時代の580馬力」の意味をどのように見いだすのか、気になる人もいるはずだ。そんなことも考えならがステアリングを握った。
試乗会の場所は世界でもっとも安全なF1やルマンカー専用のテストサーキットとその周辺。高級リゾートとして知られる南フランスのニースとマルセイユの間の丘陵地帯に存在する。1980年代はこのサーキットでフランスGPが開催され、目の前でアラン・プロストがセナを抜き去るところを目撃したことがある。眼下に地中海を見下ろせる南仏はこの時期はちょっとひっそりとしている。
ミュンヘンからチャーターフライトでサーキットに隣接する飛行場に降り立った我々はすぐとなりのサーキット・ホテルにチェックイン。部屋に入るなり停電!というちょっとした事件があったものの、このホテルはとんでもなく高級だ。資産数十億円というF1の谷町用に作られたようだ。そんな富裕層がいる限り600馬力級のスポーツモデルはなくならない。スピードという麻薬に犯された体は、もう後戻りできないからだ。