メルセデスともBMWとも違う独自のプレミアム路線を進み、それによって世界中で確実に成功をつかみつつあるアウディ。そのなかにあってTTというクルマは、ある意味ちょっと微妙なモデルだ。どこが微妙なのかというと、本当にスポーツカーと呼んでいいのか、あるいはスポーティなスペシャルティカーなのか、という点。ミドエンジンのR8は間違いなくスポーツカーといっていいクルマだけれど、という観点から見て、である。
初代A3と基本は同じプラットフォームを使って登場した初代TTは、今にして思えばスポーティなスペシャルティカーだった、といっていいのではないか。バウハウス的とされたスタイリングはたしかに個性的で魅力に溢れていたが、高速でのリフトが問題となった初期モデルの例を持ち出すまでもなく、そのドライビング感覚は真のスポーツカーに望まれるタイトな感覚にはいささか乏しいといえるものだったからだ。
そこへいくと2代目の現行TTは、横置きエンジンの前輪駆動および4輪駆動というプラットフォーム構成の基本中の基本に関してはアウディA3、および同じベーシックを使うVWゴルフVと共通しているものの、前後重量配分を適正にするという観点から主にシャシー前方にアルミを多用し、軽くする必要性の薄い後方にはスチールを用いたハイブリッド方式のプラットフォームを専用に起こすなど、独自のドライビングの世界を創生するということに関して、初代よりずっと真摯に取り組んだクルマなのは間違いない。
その2代目TTが新しいモデルが加わり、そのなかにTTSなるモデルがある。TTSの最後の「S」が意味するものが何かは、初夏の南ドイツでのテストドライブしてきた。