現行型の6シリーズは、2004年から2010年にかけて11万8000台が生産された。ラグジュアリー・クーペという限られた市場のなかでは成功と評価できる数字だ。そうしたなか、2011年のデトロイトショーで次期型6シリーズが発表された。上級嗜好の顧客の期待に応えるために、グレードの高さを際立たせることを重視しているとのこと。その意味を含め、今回はクーペからではなく特別な1台としての価値が増すカブリオレから市場への投入を開始する。
その時期は3月以降が予定されている。北半球ではカブリオレにとって最高の季節となる、春から初夏にかけて販売が立ち上がっていくこともクーペに先駆けて投入される理由となる。一方、今回の国際試乗会は季節が逆転する南半球の南アフリカにあるケープタウン近郊が舞台。すでに気温は30度に達していたが、空気が乾いているので暑苦しさは感じない。もちろん、ソフトトップは開け放つ。センターコンソールのスイッチを押すだけで開き作動時間はわずかに19秒で済む。
ところで、最近ではリトラクタブル式のハードトップを持つクルマが増えている。だが、6シリーズはあえて現行型と同様にソフトトップを採用。その理由は、ハードトップよりもカブリオレならではのグレードの高さが表現できるからだ。確かに、外観から内側に幌の骨格があることが分かるようにするデザインを取り入れることなどによりクラシカルなエレガンスを漂わせている。コスト面においても、優れた遮音性や断熱性を実現するソフトトップはハードトップ以上になるとのことだ。
ちなみに、アストンマーティン DB9 ヴォランテもソフトトップを採用しているが、価格帯はまったく異なりそうなので、さすがにDB9が放つオーラまでは期待できない。また、クラシカルなエレガンスの度合いではジャガー XKR コンバーチブルの方が勝っているかもしれない。とはいうものの、次期型6シリーズはエレガンスだけではなくBMWらしくアスリートのように颯爽とした一面も持っている。フロントマスクは挑戦的でさえあり、デザイナー自身も「先行車に“これから追い越しをかけるぞ”と訴えかけるようなマスクにしました」と語っていた。
なおかつ、ディテールに至るまで凝っている。ヘッドライト下部の一段奥にターン・インジケータがあり立体感を生むだけではなく歩行者保護にも役立つという。グリルは横から見ると“く”の字型となる。折れ曲がりから下を上部よりも細く削ることで、BMWの象徴ともいえるキドニーグリルが左右ともにより美しく見えるように配慮している。