美しくあれ、高性能であれ。1935年に登場した最初のモデル以来、ジャガーのバッジをつけたすべてのクルマは、創始者であるウイリアム・ライオンズの教えを忠実に守ってきた。その点、Sタイプの後継モデルとしてデビューしたXFを見て「ジャガーらしくないな」と感じた人は多いはずだ。デザインには歴代ジャガーのモチーフを使っているとメーカーは主張しているが、僕の目にもXFはきわめてモダンに映る。むしろ、過去のジャガーとのしがらみを断ち切ろうとしているようにすら思えるほどだ。
事実、XFはダークスーツを着てロンドンの金融街に通勤するエグゼクティブに似合うクルマになった。そうした人々はまさにドイツ製プレミアムセダンの得意客であり、イギリスだけでなく他の欧州諸国や北米、そして日本でも大きなマーケットを形成している。そう、クラシカルなブリティッシュテイストから脱却することで、より大きなマーケットに挑戦することが、XFに与えられた使命なのである。
しかし、それは同時に、メルセデス、BMW、アウディ、レクサスといったプレミアムカーが待ち受けるマーケットに参入することを意味する。生き馬の目を抜くような厳しい市場で成功を収めるべく、ジャガーがXFに与えたセールスポイントとはいったいどんなものなのだろうか? 新たに5リッターエンジンを手に入れたXFをテキストに、モダンジャガーの魅力を探っていこう。