「スーパーカー」と呼ばれるセグメントにあって、今もっとも注目されるのはパワートレーンに関する話だろう。
平たく言うなら「どこまで12気筒をやり続けるのか」ということだ。
そこにいる者すら避けられない環境対応の波を背にして、各社の動きは活発になりつつある。アイドルストップを全車に標準化するメーカーもいれば、ハイブリッドに新たなポテンシャルを抱かせようとするメーカーもいる。なんにせよ、今まで通りの無尽蔵な火力戦は許されない。
そんな中、12気筒継続の意志をいち早く示したのがランボルギーニだ。60年代半ば以降、リファインを積み重ねて使い続けてきた伝統の60度V型12気筒ユニットは、エミッションや騒音の規制に抵触する年齢的限界を迎えていたであろう・・ところに、あろうことかまっさらの白紙から新しい12気筒を生み出した。しかも現状このエンジンが搭載されるのはこのクルマ、アヴェンタドールのみである。
公表されてはいないが、アヴェンタドールの生産能力は、多く見積もって年間400台といったところだろう。一説には、金型など生産設備の仕様から推するに、総生産台数は4000台程度という話もある(ちなみにムルシェラゴの総生産台数は4099台)。4ドアサルーンのエストーケなどモデルレンジ拡大のプランもあるにはあるが、それにしても万には届かない基数のために12気筒を作るというだけでも、ランボルギーニの度胸と覚悟は普通の物差しでは測れない。
一方で、アヴェンタドールは前型にあたるムルシェラゴに対して20%の燃費低減を実現したとランボルギーニは公言している。確かにカウンタックから続くソリューションの総決算であったムルシェラゴのCO2排出量は、世界最悪と評されることもあるほど酷いものだった。が、いかに分母は大きかったとはいえ、その削減量は新しいエンジンのみではおぼつかない。
そこでランボルギーニが選んだのは、燃費と運動性能の両面に効くど真ん中の正攻法の軽量化だった。そのためにランボルギーニはサンタアガタの本社工場内にカーボンコンポジットの製造行程を新設、アヴェンタドールはキャビンやルーフをカーボンモノコックの一体成型とし、部位単位で30%の軽量化を実現した。この剛体にアルミで構成される前後セクションを剛結し・・という車体構造は、ちなみに先に発表されたマクラーレンのMP4-12CやレクサスLFAにも共通している。結果、アヴェンタドールは油脂類や燃料を全て含めた日本の車検証記載重量においても1.8t台と、最終型のムルシェラゴ比で80kg近く軽量に仕上がった。この辺りのエンジニアリングに関しては、同門のアウディのテクノロジーも少なからず影響しているはずで、今後の両社のプロダクトにどのように反映されていくかが興味深い。