「誰が一番偉いか(速いか)のか、君に教えてあげようか?」と耳元で囁かれている気がした。もし、このSL65AMGのブラックシリーズのオーナーになったら、なんだか勝ち誇った気分に浸れるはずだ。そんなオーラを感じるスポーツカーが今回のチューンドSL65AMGである。試乗会の出発地点となったサンフランシスコの高級ホテル。街行く人々の熱い視線を感じながら、静かに670馬力のスポーツカーを走らせた。
大げさに張り出したオーバーフェンダーはレース場から飛び出てきたレーシングカーのようだ。だが、正式なカリフォルニアのナンバープレートが付いている。キャビンはアルカンターラの素材を使ってシックに仕上げてある。アメリカ仕様は革シート。欧州仕様はカーボンバケットが装備されている。
さて、街中ではほとんど気がつかなかった670馬力のモンスターぶりは、フリーウェイに入って初めてスロットルを床まで踏み込んだときに正体が分かった。体がシートバックに押さえられながら、スピードメーターはあっという間に時速100マイルを超えてしまった。このままスロットルを踏み続けると、宇宙空間に飛び出してしまいそうな感じだ。
しかし、街中ではチューンされたV12ツインターボと5速トルコンATは、そのパフォーマンスからは想像できないほどイージードライブが可能だった。その気になればカップホルダーのコーヒーを味わいながら街中をクルーズできそうだ。