ステーションワゴンというと、ウチこそがパイオニアだというメーカーが、ヨーロッパにはけっこうある。まず有名なところではボルボ、それにかつて、当社もステーションワゴンの老舗のひとつだと、オペルが広報資料に明記していた記憶もある。ならばどこが最初にステーションワゴンを世に送り出したメーカーか、今それを正確に調べている余裕はないが、メルセデス・ベンツがその分野のパイオニアのひとつなのは間違いないだろう。
それはさておき今回のメルセデス・ベンツ試乗会は、世界で最も厳しいディーゼル車の排ガス規制である日本のポスト新長期規制をクリアした現在唯一の輸入車、BlueTEC直噴ターボディーゼルエンジン搭載モデルをメインとするものだが、同時にそれはEクラスステーションワゴンの日本デビュー試乗会でもあった。ということで、Eのワゴンをメインテーマとしたリポートが欲しいという編集部からのオファーに取り組んでみよう。
ならば、人はEクラスのステーションワゴンに何を望むのか、それをまず考えてみたい。Eのワゴンといえば、例えばアストンマーティンをベースにしたワンオフのシューティングブレークとかいった極めて特殊なモデルは別にして、普通に市販されているステーションワゴンのなかで、最もステータスの高いクルマということになりはしないか。だから、それに乗っている人が望むことのひとつは、それなりに豊かな生活を営んでいる人に見えることではないだろうか。それはEクラスワゴンの場合、最新型もしくは先代の後期モデルあたりに乗っていれば、まず間違いなく満たされるはずである。ここ数年のメルセデスのデザインにさほど共感を覚えることがなく、ふとブルーノ・サッコ時代のクルマが懐かしく思えたりする僕から見ても、ステアリングを握っている人をリッチに見せるワザにかけては、メルセデスのデザインは天才的な閃きを持っているとしばしば感心させられる。