カービューでの取材において、今回ほど動画レポートではなく原稿レポートで良かったと思ったことはない。なぜなら動画であったならば、そのレポート内容は「すっげぇ!なんだよこれ!こんなのアリっ!?」そんな言葉の羅列しか出てこなかったはずだからだ。
実際、一般道とサーキットでの試乗の際には、絶えずこの言葉が自然と口から出てきていた。そのクルマこそ、11年モデルの日産GT-R。今は冷静に事実を受け止められているが、その性能の向上幅が想像以上に大きく、07年モデルGT-Rオーナーという立場もあり、試乗当日は興奮と妙な苛立ちが絶えずあった。
思い返せば、07年12月にR35GT-Rが登場したときに、開発総責任者の水野氏は言っていた。「GT-Rは今後も絶えず進化させていく。GT-Rの本当の姿は3年後にお見せする」と…。
絶えず進化させる。これはすでに見せてもらった。07年モデルに対して細かく性能を向上させつつ08、09、10年モデルを登場させた。振り返れば07年モデルに対して10年モデルは、エンジン出力も向上しているし、スポーツレベルも快適性レベルも全てが進化している。その進化の速度と歩幅は、世界的に見ても類のないほどアグレッシブなものだと捉えていた。
だが11年モデルを知ると、その進化の歩幅でさえかわいらしいものだった感じられる。なぜなら、08、09、10年モデルは全て、07モデルをベースに足回りの味付けやエンジンのロムチューニングを施すことでスポーツ性や乗り味を進化させてきたもの。クルマの基本性能を大きく左右する、シャーシや空力性能には基本手を加えていなかった。言うなれば、足かせが付いた状態での進化だったのだ。
だがマイナーチェンジに相当する変更が施された11モデルは違う。それらシャーシや空力性能にまで手が加わり、その性能向上幅は想像以上で、これが3年後に見せると言っていたGT-Rの本当の姿なのだと痛感する。その詳細をお伝えするまえに言っておくが、買い替えないと決めている現GT-Rオーナーは、11モデルには触れない方が良い。ボクと同様に、心にモヤモヤ感を抱き続けることになるはずだからだ。