ポルシェ自身が4ドアのグラントゥーリズモと表現するパナメーラが、いよいよ路上を走り始めた。とはいえこいつは単なる4ドアではない。このクラスのラグジュアリーカーとしては極めて稀なことに、ファストバックキャビンのリアにテールゲートを備える、いわば5ドアなのだ。だからより正確に表現すると、ポルシェがつくった5ドアの4座グラントゥーリズモ、ということになる。
ところでポルシェは過去に何度か、ドアの数はともかくとしてフル4シーターのモデルをトライしている。まず1950年代末にデザインされた911の開発段階のプロトタイプのひとつに、リアエンジン2ドア4座のT7、別名タイプ754というモデルがあった。このタイプ754はフェリー・ポルシェの一声で没にされたというから、フル4シーターの911は計画から消えたと思いきや、後にまたその計画が再燃したのか1970年、911Sのホイールベースを後方に350oも延ばしたタイプ915なる試作モデルがつくられていたことが、新装成ったポルシェミュージアムの展示を見るとわかる。90年代に入ると大型4ドアサルーンの開発計画が本格的に立ち上がるが、結局それはポルシェにとって時期尚早との判断が出て中断、そのクルマのために開発されたマルチリンクのリアサスペンションが、空冷エンジン最後の911たるタイプ993に採用されるというオマケを生むことになった。
ということはつまり、フル4シーター4ドアポルシェの市販モデルというのは、2002年に世に出たSUVのカイエンがその最初のクルマということになる。で、そのカイエンの大成功に勇気づけられたポルシェが自信を持って送り出した大人が4人乗れる4ドア≒5ドアのポルシェの第2弾が、パナメーラだというわけである。