さすがのスズキも無視できなくなったということだ。なんのことかというと、もちろんダイハツ タントのことである。
超ロングホイールベースのプラットフォームに、ワゴンRやムーヴといった主流のハイトワゴンより10cm近くも背高ボディを組み合わせた初代タントは“FF軽として室内が究極的に広い”を売りにして、2003年11月に発売された。タントのスタイルは、ワゴンRやムーヴと見比べればアンバランスなほどの背高ノッポで、軽トップに向けて試行錯誤していたダイハツ実験・提案型モデルのひとつといえた。
そして、ダイハツの大胆な実験作は予想以上のヒットとなる。タント初のフルイヤー販売となった04年は、年間約9.2万台で軽のモデル別ランキングで5位、翌05年も台数はほぼ同じだったがミラの脱落でタントは4位に浮上、06年は初の10万台突破でライフを抜いて3位となり、初代の最後の年となった昨年も10万台オーバーで3位をキープしたのだ。この間のトップ2は当然のごとくワゴンRとムーヴだから、タントはあっという間に日本で3番目に売れる軽乗用車となったのである。
タントがこれだけの売れ行きを見せているのに、あのスズキが4年以上も対抗モデルを出せなかったのだ。まあ、この時期のスズキは軽自動車よりスイフトを筆頭とする国際的なコンパクト戦略に注力していた…という背景もあるのだが、いずれにしても、スズキにとってタントがまったくの想定外だったのだろう。
しかし、いつまでもタントに好き勝手やらせているわけにはいかない。ご存じのように、昨年の東京モーターショーでスズキはついに“タントキラー”を参考出品した。その名はパレット。その開発スケジュールもライバルにピタリと照準を合わせて、2代目タントのわずか1ヵ月遅れで発売にこぎ着けたわけだ。