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カービュー マーケットウォッチ(2008年6月度)

 自動車総合サイト「carview.co.jp」を運営する株式会社カービュー(本社:東京都中央区、代表取締役:松本 基)は、社団法人 日本自動車販売協会連合会が公表する「月間登録台数ランキング」をもとに、日本国内における自動車マーケットの動きを独自分析する。

日産、マツダ、スバルが伸び悩み、国産乗用車全体で前年割れ

軽自動車は14カ月連続、輸入車も20.3%減と大幅なマイナスに

 今回は、日本自動車販売協会連合会(自販連)、全国軽自動車協会連合会(全軽自協)、日本自動車輸入組合(JAIA)が発表した5月の販売データからマーケット概況をチェックしていこう。まず輸入車を含めた3/5ナンバー乗用車(軽自動車は除く)全体では19万695台で、前年同月比95.6%と2カ月ぶりにマイナスとなってしまった。3ナンバーの普通乗用車は8万4857台、前年同月比103.3%で11カ月連続のプラスだが、5ナンバーの小型乗用車は10万5838台、前年同月比90.3%と約1割減になり、前月のプラスからマイナスに落ち込んだ。5ナンバーの小型乗用車のほうがビジネスシーンで選ばれる傾向が強いため、好調に売れた4月の反動に加え、5月の暫定税率復活やガソリン価格急騰が影響したものと思われる。

 輸入車を除く国産乗用車は、17万6328台(日産デュアリスの輸入分91台含む)で前年同月比は98.6%。月間ランキングでは1、2位の「ホンダ フィット」、「トヨタ カローラ」は7カ月連続変動なし。3、4位は「トヨタ ヴィッツ」と「クラウン」が順位を入れ替え、5位「パッソ」、6位「プリウス」、8位「ヴォクシー」とトヨタの6台がトップ10入りした。前月トップ10に1台も入らなかった日産は、「セレナ」と「ティーダ」が9、10位。「マツダ デミオ」が3カ月連続でトップ10入りしたのも注目される。ただ日産とマツダはメーカー合計では前年割れ。車種によって好不調の差が大きく、全体として伸び悩む結果となっている。

 商用車を含む軽自動車はメーカー合計でダイハツ、スズキ、日産が前年を上回ったものの、全体では13万9142台で前年同月比97.2%と14カ月連続のマイナス。それでもマイナス幅は前月と変わりなく、下げ止まり傾向に移行しつつあるようだ。

 また、輸入乗用車は海外メーカー製が1万3821台で前年同月比79.4%と大幅減。日本メーカー製(デュアリス分含む)輸入車も637台で19.8%にとどまったこともあり、全体では1万5811台で76.2%に終わった。海外メーカーブランド別乗用車ランキングはVW(フォルクスワーゲン)がトップに返り咲き、BMWが2位、前月トップだったメルセデス・ベンツが3位に後退。ただし、前年同月比102.7%の4位アウディ、267.7%の9位フィアット以外、上位陣は軒並み前年を下回っている。

ココも気になる! その1

2年連続で前年割れの日産が新車攻勢で勝負をかける!

 カルロス・ゴーン社長の登場で、見事なV字回復を達成した日産だが、「ムラーノ」、「ティーダ」、「フーガ」、「ティーダラティオ」、「ラフェスタ」、「ノート」、「セレナ」、「ウイングロード」、「ブルーバードシルフィ」と続いた2004~2005年の新車ラッシュ以降、昨年まで2年連続で前年割れ。一昨年は新車ラッシュの反動に苦しんだともいえるが、昨年も年間トータルの前年比が87.8%と2ケタのマイナスとなってしまった。

 もちろん3/5ナンバー乗用車(登録車)の新車販売全体が1970年代前半レベルまで落ち込んでいる状況下では致し方ない一面もあるが、今年は1月から4カ月連続で前年を上回り、5月こそ95.4%と前年同月比はマイナスとなったが、1~5月の前年同期比では105.1%と勢いを取り戻しつつある。そんな日産が今年4月より、新たな5カ年計画「日産GT2012」をスタートさせた。

 成長(Growth)と信頼(Trust)の頭文字を取った「日産GT2012」には、品質面の向上を軸に、ゼロエミッション車の量産化と、全世界市場に5年間で60の新型車を投入することによって5年間の売り上げを平均5%あげることが盛り込まれている。ゼロエミッション車とは電気自動車(EV)のことで、2010年にアメリカと日本、2011年にはイスラエルとデンマークで販売を開始するという。このためNEC(日本電気)グループと共同で高性能リチウムイオン電池を開発・量産する計画だ。さらに今年は「ティアナ」を皮切りに、「キューブ」や「フェアレディZ」など新型車を9車種投入予定。この9車種には、日本で発売されないモデルも含まれるが、強気で知られるゴーン社長だけに、魅力あふれるニューモデルの登場に期待したいところだ。

ココも気になる! その2

TSIエンジンとDSGを軸に世界市場を席巻するVW

 昨年年間で5万1974台、2007年4月~2008年3月の2007年度でも5万1617台で、8年連続輸入車ナンバー1ブランドとなったVW(フォルクスワーゲン)。車名別でも「ゴルフ」が昨年年間2万5392台で5年連続のトップを達成した。5代目となる現行型ゴルフは日本には2004年に登場。つまり、目新しさによる“新車効果”ではなく、輸入車の定番モデルとして確固たる支持を集めているわけだ。

 ただ、定番モデルというブランドイメージだけで売れているわけではない。新機構による技術的なアドバンテージも見逃せないポイントなのだ。例えばDSG(デュアルクラッチトランスミッション)。MTのスポーティさとATの快適性を高次元で融合させた革新的なトランスミッションだが、日本には2005年に追加された「ゴルフGTI」に初搭載。さらに1.4リッターエンジンにターボチャージャーとスーパーチャージャーを組み合わせたTSIエンジン(最近では高効率ターボエンジンもこの名称が使われる)も2005年の「ゴルフGT」が最初だ。

 エクステリアなどのデザインは大きく変えずに惜しみなく新機構を投入する攻めの姿勢こそがVWの真骨頂。これが昨年は世界販売台数7.8%アップの約366万台という好結果を生み出し、アウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ブガッティ、シュコダ(チェコ)、セアト(スペイン)などからなるVWグループ全体で約620万台という新記録樹立につながっている。

 日本では今年5月時点で前年同期比96.4%とやや苦戦しているが、6月に発売された新しい1.4リッターTSIエンジンと7速DSGを採用した「ゴルフTSIトレンドライン」をはじめ、コンパクトSUVの「ティグアン」やパサートベースのスタイリッシュ4ドアモデルを投入予定。VWの積極策が低調な輸入車市場のカンフル剤になるか、要注目だ。